「リーダー育成」がもたらす好循環
しばしば、「経営者にとって最も重要な仕事は、後継者の育成」と言われるが、サイバーエージェントはその点も抜かりがない。同社には、2年毎に2名の取締役を入れ替え、計8名の取締役で構成される制度「CA8」(シーエーエイト)を拡大した「CA18(シーエーエイティーン)」という人事制度がある。取締役「CA8」の8名に、執行役員10名を加えたもので執行役員は1年毎に3名が入れ替わる。藤田晋社長は、その目的として(1)次世代経営者の育成、(2)経営情報の共有、(3)経営の透明性の向上を挙げている。
CA18に2期参加した経験を持つ小池英二は、「すごい経験だった」と語る。
「目線が上がり、意思決定のスピードが格段に高まりました。取締役の決断の速さや判断から、裁量権の感覚が掴めるようにもなりました。よく上司に『任せるよ』と言われて迷ったものですが、その判断の範囲がわかるようになりましたね」
その半面、「悔しい思いもした」と言う。
「役員会に参加する機会があるのですが、当初はスピード感や意識の高さについていけない部分がありました。だから、スマホで会議を録音し、理解を深めるために聞き直して調べたりもしました。次の会議では、すでにその話は終わっているんですけどね(笑)」
小池は「CA18での経験を部下と共有した」と話すが、それこそが藤田の狙いである。経営陣の考えを現場にフィードバックすることで、情報共有する-。それが、サイバーエージェントの発展にもつながるのだ。