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2016.03.10 10:31

役員×若手の「事業をつくる」システムが組織を強くする

新設した「Speee Lounge」に立つ、Speeeの大塚英樹社長。ここで様々なイベントを開催し、社内外の交流を促していく。(写真=ヤン・ブース)

新設した「Speee Lounge」に立つ、Speeeの大塚英樹社長。ここで様々なイベントを開催し、社内外の交流を促していく。(写真=ヤン・ブース)

なぜ、あの企業やスタートアップは成長を続けられるのか。そこには組織のビジョンを浸透させる独自の社内制度と働き方があった。急成長するスピー(Speee)、エス・エム・エス(SMS)、ガイアックス(Gaiax)、仕掛けは三者三様、しかし共通点がある。スピーの大塚社長に話を聞いた。

「事業をつくれる人間が多いのが強み」。設立9年目で、いまや従業員400人まで成長しているスピー(Speee)社長の大塚英樹はそう話す。同社はメディア・スマートフォンアプリを軸としたBtoC事業、Webマーケティング領域のコンサルティングを軸としたBtoB事業の双方を手掛けるビジネスデベロップメント集団だ。

新規事業創出を続け、成長を続けてきた。それを支えたのが、スピー独自の“仕掛け”と“思考”が生み出す組織文化である。「私たちは毎年、役員に新規事業の創出を義務づけています。それがきっかけとなり、メンバーの“事業創造トレーニング”につながり、良い循環が起きています」

なぜか。大塚曰く、役員は新規事業が義務付けられることにより、その“種”を探す。だからこそ、メンバーはたとえ若手であろうと種につながるアイデアを提案しやすくなる。アイデアが抜擢された若手が実践を通して種を芽にできない場合でも、役員はメンター指導をはじめ、全力で支援する。そこで若手は新規事業のつくり方を実践を通して学んでいく。

「事業と組織は表裏一体であり、共にこだわらねばなりません」との言葉を象徴するのが、過去の主だった経営の意思決定120個を「Speee History」としてまとめて、メンバーに共有している点だ。これまでの意思決定の数々を通して、組織文化を浸透させており、四半期ごとに更新している。なぜ、この戦略をとったのか。「新規事業を手掛ける若手は、生みの苦しみを味わいながら、『Speee History』を見ることで、ゼロイチを突破してきた既存事業への見方が変わります」

そこには、社内トラブルも記されている。「私は情報の“点”が嫌いで、“線”が好きなんです。会社は“線”でできているし、その“線”の中にみんないてほしいので、過去からの流れを全てシェアしています。歴史を知ると、当事者意識も生まれ、独自の組織文化へとつながります」

さらに、昨年末に「Speee Lounge」というカフェラウンジを新設し、法人営業部と開発部といった部署間でのアットランダムな交流を促す仕掛けを始める。「イノベーションは組み合わせが原理原則だとするならば、“線”と異分野のアイデアとの出合いが事業の幅を広げ、持続的な事業創造につながると考えています」

株式会社Speee。2007年11月設立。Webマーケティング事業、インターネットメディア事業を行う。従業員数は400人。コンセプトは「“Biz Dev” BusinessDevelopment」。代表取締役の大塚英樹は1985年生まれ。

土橋克寿 = 文 ヤン・ブース、平岩享 = 写真

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