Close

PICK UP

雑誌経験30年のベテラン編集者兼フリーランスライター

[左]谷口恒 株式会社ZMP 代表取締役社長[右]中島宏 株式会社ディー・エヌ・エー 執行役員(photograph by Ryuichi Yagi)

全国700万人の買い物難民を救い、外国人観光客を誘致しうるロボットタクシーで地方再生。2020年東京五輪で都内の道路を走らせて、世界にアピールする!

地方、特に過疎地での公共交通の衰退は著しく、路線バスによる輸送人員は1970年代のピーク時から半分以下に落ち込んでいる。地域の足として地域経済を支えてきた交通基盤は崩壊しており、全国には700万人とも言われる「買い物難民」があふれている。

「そんな交通弱者が自由に街に出られるようになれば地域経済も活性化する」との思いから、自動運転の「ロボットタクシー」事業に参入したのがZMPの谷口恒社長だ。2015年5月にIT大手のDeNAと共同で新会社「ロボットタクシー」を立ち上げ、20年の東京五輪までにロボットタクシーを都内で走らせるという計画をぶち上げた。

谷口は実家で交通インフラの弱体化を実感し、ロボットタクシーによる地方創生を考えたという。

「7〜8年くらい前から駅周辺にタクシー会社の営業所がなくなった。3駅先の営業所から呼ぶくらいなら、少々遠くても歩いたほうが早く着く。年をとって免許を返上したら、地方では引きこもるしかなくなってしまった。タクシー会社のコストの大部分は運転手の人件費。それがいらないロボットタクシーは低コストで交通弱者を救うことができる」

エンジニアとして制御機器メーカーで商業車のアンチロックブレーキシステムの開発に従事し、商社での技術営業の後、谷口は01年にZMPを設立し、ロボット技術を商品化してきた。地方の再生に取り組んだ最初の事業は車のトランクに宅配ボックスを積んだ「ロボット宅配」。しかし、経産省に提案したが成功には至らず、新たに挑戦したのがロボットタクシー構想だった。そして自動車領域への進出を目指していたDeNAとタッグを組み、ロボットタクシー実用化へと進み出した。

ロボットタクシーCEOを務めるDeNA執行役員の中島宏は事業としての勝算をこう言う。

「“都内でロボットタクシーを走らせる”と言っていますが、本命は都会ではなく地方なんです。明らかなニーズがあるし、市場規模も大きい」

すでに人を運転席に乗せて自動運転車を公道で走らせる実証実験を始めている。安倍首相も官民対話で「17年までに必要な法改正やインフラ整備を進め、公道実験ができるよう検討する」と語り、事業を後押ししている。

「20年の東京五輪は、ロボットやAIなど、日本の技術を世界にアピールするラストチャンスだと思う。ロボットタクシーが世界に認知されれば、ロボットタクシーが走る街は観光客を呼び込める。民泊企業などと提携し、ロボットタクシーの予約ができるようにすることも考えている」(谷口)

地方の活性化だけでなく、外国人を呼び込む観光推進にも貢献しうる。谷口も中島も「絶対実現する」と自信をのぞかせる。

文 = 鈴木 裕也 写真 = 矢木隆一

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい