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2015.11.21

「結婚まで親と同居」の米国人女性が増加している理由

Elle1 / Shutterstock

1950年代に23歳で結婚した筆者の祖母は、どちらかといえば晩婚だったそうだ。米国の調査機関ピュー研究所によると、当時の米国人女性の平均初婚年齢は20歳前後。18~34歳の女性の約60%が既婚者だった。そして、祖母は同世代の女性たちの大半と同じように、結婚するその日まで両親と一緒に暮らしていた。
 
それ以降、婚姻年齢は数十年にわたって上昇し続け、2014年には女性の初婚年齢が過去最高の27歳になった。既婚率は徐々に低下し、若い女性の間では約30%にまで落ち込んでいる。そして、女性の大学進学率と学位取得率は、逆に祖母たちの世代より増加している。
 
ところが、こうした変化が現在の若者たちに、「過去の住居形態への回帰」をもたらしている。2014年の米国勢調査では、18~34歳の女性の36.4%%が両親または親族と同居している。過去最低の20%だった1960年に比べれば、かなりの増加だ。
 
一方で、女性の就労率は大幅に上昇した。2014年の労働統計局の報告書は、女性の就労について次のように説明している。
 「第二次世界大戦後の女性の就労率は30%に満たない水準だったが、1960~80年代にかけて急増。90年代に入って初めて鈍化した。女性の就労率が最も高かったのは99年で、60%に達している。その後は低下し、2013年には57.2%となった」
 
ピュー研究所のリチャード・フライはこうした分析結果について、「現在、両親と暮らす女性が増加している理由は1940年台とは大きく異なる」と指摘する。
 
理由の一つは間違いなく、経済環境の悪化だ。若年層の失業率が上昇し、学生ローン残高が増加する中、若年成人層は男女を問わず、家賃の支払いに苦しんでいる。今年10月時点の完全失業率は5%にまで低下し、2008年4月以降で最も低い水準になった。しかし、いまだに多くの人が負債を抱え込み、先行きに不安を感じている。こうした理由から、実家で暮らす若年層が増えている。
 
若い女性が実家暮らしを選択する背景には、別の理由もある。その一つが、大学進学率の上昇だ。ピュー研究所によれば、大学生はそれ以外の若年成人に比べ、家族と同居する割合が高い。高騰する大学の学費をまかないつつ、一人暮らしをすることは難しい。現代の米国の若い女性たちは様々な理由から、親と同居することを選択している。
 

編集=上田裕資

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