11月8日のミャンマー総選挙で、国民民主連盟(NLD)は82%の議席を獲得した。アウン・サン・スー・チー氏は、ミャンマーで25年ぶりに開催された自由選挙で圧勝を収めたのだ。
今回の選挙結果は50年間に及ぶ軍事政権の終焉を意味する。NLDの勝利により、軍事政権の最古参メンバーのシュエ・マン氏は国会を去った。それどころか、彼は敵に勝利を祝福する言葉さえ送ったのだ。
しかし、国会には多くの軍人がいるため、憲法の大幅な改正は阻止され、歩みは遅いものとなるかもしれない。だが、自由化の進行はこの国に多大な経済発展をもたらす可能性を秘めている。
今回の選挙のかなり前から、ミャンマーでのビジネスに注目する動きがあった。プライスウォーターハウス(PwC)は、今年7月のリポートで次のように述べた。
「ミャンマーでは外国銀行の市場参入を許可する銀行リフォームや、外国持ち株制度などの新ミャンマー会社法の制定の動きが始まった。さらに、今年11月に開設予定のヤンゴン証券取引所には、5社から10社の上場が見込まれている」
こうした背景もあり、以前から一部の投資家らは今回の選挙に多大な関心を寄せていた。
「新大統領と政府が権力を掌握するには時間が必要だ。しかし、人口約5000万人のミャンマーの経済的ポテンシャルを考えると、今回の選挙結果は非常に良い兆しだ」とロンドンを拠点とするアルキティ社(Alquity)のファンドマネージャー、マイク・セル氏は話す。
同社はすでにミャンマーへ投資を行っており、同社のアジア向け投資の4%を占めている。セル氏によるとファンドが投資しているのは、今後大きな成長が見込める、経営状態の良い一般消費者にフォーカスした企業だという。
以前は投資家らはタイの企業を経由してミャンマーへの投資を行うのが一般的だったが、現在は消費者向けビジネスや観光業といった分野への直接投資が増加している。
「このような市場への投資にはもちろんリスクがあるが、詳細な状況分析により、そうしたリスクを軽減している」とセル氏は述べた。
「グローバルな投資の世界で、最後のフロンティアとして期待できるミャンマーへの投資を、今後はさらに増やしていく」