Santos Dumont
航空史にその名を残すブラジル人飛行家アルベルト・サントス=デュモンが依頼した伝説の腕時計「サントス」が、1904年のオリジナルに忠実なスタイルで登場した。当時のパリの幾何学的な美意識に通じるスクエア型で、直線で構成されながらも4つの角が丸みを帯びたケース。さらには、建築様式を思わせるビスがベゼルに埋め込まれている。懐中時計のラウンドが常識だった20世紀初頭のコードを覆す、デザイン革命のシンボルともいえる造形である。
「操縦桿から手を離さずに時間を確認できる時計が欲しい」。サントス=デュモンのそんな依頼によって製作された「サントス」は、スポーティであるはずなのに、とてもエレガントだ。それはフォルムの美しさに加え、ディテールが上品だからだ。ダイアルにはローマ数字のインデックスとバトン針。バランスのいい伝統の組合せが秀逸である。さらにリューズにはパール状の飾りがつき、その先端にはブルーカボションという遺産が受け継がれている。このピースには、パリの幾何学的な美意識が息づいた、普遍のエレガンスが宿っている。
ケース厚がわずか7mmと薄く、とても軽い。着用感は極めて軽快である。実用性も大きな特長である「サントス」らしいこの長所の要因のひとつが、今回採用されたクォーツムーブメントにある。カルティエは今回、より高性能の新電池と、エネルギー消費を抑えるムーブメント設計で、約6年間にわたる連続作動を実現。これは従来のムーブメントの2倍にもなる。長寿命なことで、電池交換というクォーツのデメリットもクリアしている。
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Laziz Hamani, Eric Sauvage © Cartier