今年はフィンテックの分野で巨額の買収や資金調達が相次いだ。直近の1ヶ月だけでもProsperによるBillGuardの買収、Avantの3億2500万ドル(約389億円)にも及ぶシリーズEの資金調達、さらにCommonBondは10倍もの市場拡大を遂げた。
そして、9月30日には史上最大規模の資金調達が発表された。SoFiが10億ドル(約1200億円)もの資金をシリーズEで獲得したのだ。これはフィンテック業界において、1ラウンドにおける最大の資金調達となった。
SoFiはソーシャル・ファイナンス(Social Finance)を縮めた名前だ。同社は8月に噂された通り、ソフトバンク率いる調達ラウンドで10億ドルの資金を受け取った。このラウンドでソフトバンクのみが、新規の出資元だ。既存の出資元としてはThird Point Ventures、Wellington Management Company LLP、RenRen、Baseline Ventures等が挙げられる。
フィンテック業界においては過去に無い規模の資金調達となったが、ソフトバンクは今年6月にも、韓国のオンライン小売業Coupangに10億ドルの資金を注いでいる。同社は中国のアリババに対しても早期に出資を行っている。
ソフトバンクの副社長のニケシュ・アローラは「ソフトバンクは成長分野への投資機会を求めている。今回の投資により弊社の金融サービス分野での存在感が高まった。この分野は世界で最も規模が大きく重要なものの一つだ。SoFiがフィンテック業界の革命的存在であることを確信している」と述べた。
SoFiの市場価値は今年の7月時点で15億ドル(約1800億円)。現在の価値は40億ドル(約4800億円)に及ぶと推定される。
急成長するフィンテック業界は、従来の銀行の存在を脅かす存在になるのかもしれない。しかし、それこそがSoFi社の狙いだ。2011年に創業した同社は、スタンフォード大学などの一流大学の卒業生の学生ローンの借り換えを促すことから事業を開始し、急成長を遂げた。
マイク・キャグニーCEOは今回の資金の使い道について、「従業員を増やし査定の品質を向上させる。また、住宅ローンや個人向けローン、学生ローンの分野への取り組みを強化する」と述べた。
さらに、富裕層向けの資産管理事業にも取り組んでいくと述べている。
「我々の競合はProsperやLending Clubなどのフィンテック企業ではない。しかしウェルズ・ファーゴやFrist Republicとは競合するつもりだ」と彼は述べた。