オーストラリアのソフトウェア大手、Atlassian(アトラシアン)の共同創業者でCEOのマイク・キャノンブルックスは、気候変動の問題に取り組むビリオネアとして有名だが、自身の会社がF1チームのスポンサーを務めていることや、プライベートジェットを所有していることで批判を浴びている。
法人向けソフトウェア企業のアトラシアンを率いるキャノンブルックスは3月13日、「私は持続可能な未来を信じているが、それには困難で継続的な取捨選択が伴うことを十分理解している。現実主義と野心のバランスを取ることは難しい」と、リンクトインの投稿で語った。
アトラシアンは先月、英国のF1チームのウィリアムズ・レーシングと長期的なスポンサー契約を結んだが、キャノンブルックスは、自身が化石燃料を大量に消費するこのスポーツを支援しつつ、サステナビリティを追求するという矛盾を認めつつ、F1が2030年までに二酸化炭素(CO2)排出量の実質ゼロ(ネットゼロ)を達成することを約束している点を強調した。
彼は、このスポーツの統括団体であるFIAが、持続可能性に向けた取り組みを続けていると指摘し、来年からF1マシンが最高出力時における電動モーターの比率を50%にするルールを取り入れて、持続可能な燃料で走行するようになることを指摘した。「F1は、スポーツ界における持続可能性のグローバルな模範になれると信じている」とキャノンブルックスは語った。
48年の歴史を持つウィリアムズ・レーシングが、アトラシアンと結んだ契約の財務面における詳細は明らかにされていない。昨シーズンに10チーム中9位に終わった同チームは今後、「アトラシアン・ウィリアムズ・レーシング」の名称で戦うことになる。F1のシーズン開幕戦は、16日にメルボルンで行われた。
プライベートジェットは必要
キャノンブルックスはまた、自身のプライベートジェットの使用に向けられる批判についても言及し、この問題で葛藤を抱えていることを認めた。彼は、この移動手段が二酸化炭素(CO2)排出量が多いものであることを認めつつ、セキュリティーの維持や家族との時間を確保するために必要だと説明した。
推定保有資産が139億ドル(約2兆円)のビリオネアの彼は、シドニーからデトロイトまでノンストップで飛行可能な長距離プライベートジェット「ボンバルディア・グローバル7500」を所有していると報じられている。「このジェットがあれば、オーストラリアから世界規模のビジネスを運営しつつ、父親として子どものそばに居られる」とキャノンブルックスは述べている。
彼は、個人の投資会社のGrok Ventures(グロック・ベンチャーズ)を通じて再生可能エネルギー分野への投資を拡大し、気候変動対策のための慈善活動にも資金を提供している。キャノンブルックスが率いる企業の1つのSun Cable(サン・ケーブル)は、オーストラリアのダーウィンからシンガポールへ太陽光発電の電力を送る、総額300億豪ドル(約2兆9700億円)の海底ケーブルプロジェクトを進めている。