ウクライナが射程1000kmの国産巡航ミサイルを保有していることが明らかになった。この新型ミサイル「ドウヒー・ネプトゥーン(ロング・ネプチューン)」はすでにロシアの目標に対して発射されている。
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が15日、ミサイルプログラムで「重要な成果を収めました」と発表した。「ドウヒー・ネプトゥーンが試験され、実戦での使用に成功しました。ウクライナの新しいミサイルで、精密打撃を加えます。射程は1000kmあります」
ドウヒー・ネプトゥーンはその名のとおり、ウクライナの巡航ミサイル「ネプトゥーン(ネプチューン)」の長射程型だ。もともとは対艦ミサイルとして開発された全長約5mのネプトゥーンはトラック型発射車両から発射され、2022年4月にはロシア海軍黒海艦隊の旗艦「モスクワ」を撃沈する戦果をあげた。
ウクライナが射程約200kmの通常型ネプトゥーンよりも多くの燃料を積むドウヒー・ネプトゥーンを開発していることは、2023年末には知られていた。ゼレンスキーは最近、ウクライナが2024年に長距離ドローンを10万機生産し、2025年にはそれを上回る数を生産する意向を示したが、それにはドウヒー・ネプトゥーンも含まれるのかもしれない。
製油所攻撃に使用か
ゼレンスキーが言及したドウヒー・ネプトゥーンの「実戦での使用成功」というのは、14日、ウクライナの前線から480kmほど離れたロシア南部クラスノダール地方トゥアプセにある製油所に対して行われた攻撃のことだったようだ。この攻撃は、ウクライナによるロシアの石油施設を狙った最新の攻撃でもあった。一連の攻撃でロシアの2024年の石油年産量は前年比で10%近く押し下げられている。
Probably a video of a test of Ukraine's new Long Neptune rocket, — osintery.
— Jürgen Nauditt 🇩🇪🇺🇦 (@jurgen_nauditt) March 15, 2025
On March 14, an attack was carried out on a refinery in Tuapse, Krasnodar Territory. Initially, it was assumed that it was carried out by a drone, but doubts are now being raised about this version.… pic.twitter.com/KWcGFQfQwt
ドウヒー・ネプトゥーンはウクライナにとって重要な兵器である。軽量スポーツ機を改造したものをはじめ、間に合わせの攻撃ドローンよりも強力な打撃力をもつこの新型ミサイルは、ウクライナが遠距離打撃(ディープストライク)用弾薬の面で米欧に一部依存した状態から脱するのに役立つ。ドナルド・トランプ政権下の米国はウクライナにとって、よく言っても、信頼できない支援国だ。そして欧州は、ウクライナが必要とする最新巡航ミサイルを大量に生産する能力がない。
空中から投下する滑空爆弾や地上から発射する弾道ミサイルなど、ウクライナはほかにも国産弾薬の開発や導入に取り組んでいる。トランプはウクライナに対し、米国が仲介するロシアに有利な停戦を受け入れるよう圧力をかけているが、ゼレンスキー政権は戦争がさらに長引くことへの備えを進め、ウクライナがロシア国内に対する遠距離攻撃を、激化させるとまではいかなくとも継続していくための用意もしている。