経営者に対するイメージの違い
興味深いのは、経営者に対するイメージが親の職業によって大きく異なることだ。親が経営者や自営業の人は「お金持ち」「時間の融通が利く」といったポジティブなイメージを持つ割合が56%と過半数を超えた。一方で、親が経営者や自営業でない人は「稼げない」「働く時間が長い」といったネガティブなイメージを持つ人が60.7%にのぼった。親の事業を引き継ぐ人は少数だが、裕福な生活や家族と過ごすための時間を設けてくれたという経験があったからこそのポジティブなイメージなのだろう。

また、「経営者や自営業になりたい」と考える人の割合にも違いが見られた。親が経営者や自営業である場合、52%が「なりたい」と回答したのに対し、親が経営者でない場合は23.33%にとどまった。親が経営者であることが、ある程度は子どものキャリア観に影響を与えていると考えられる。


経営者になりたくない理由
経営者や自営業になりたくないと考える理由として、「借金などの不安(資金繰り)」がもっとも多く挙げられた。親が経営者である人でも40.28%、そうでない人でも34.78%がこの理由を選んでおり、経営のリスクに対する不安は共通しているようだ。


さらにこれらのリスクが解消されたとしても、経営者になりたいと考える人は少数派だった。親が経営者である人の66.67%、そうでない人の80%が「いいえ」と回答しており、リスクを取ること自体に抵抗を感じる人が多いことがうかがえる。


今回の調査から、親族内承継が難しい現状が明らかになった。親の職業が経営者であっても、多くの子どもが別の道を選び、そもそも経営者になりたいと考える人の割合も低い。これは、経営のリスクや責任を敬遠する風潮が影響していると考えられる。
こうした状況は今後の事業承継問題にも直結する。後継者がいない場合は「廃業」しかないのか。経営者は、親族内承継の難しさを前提にしながらも早い段階から後継者をどのように確保するかを考え、必要に応じて第三者への承継を検討することが求められるだろう。
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