成長著しく若者層の購買意欲が高まっているという東南アジアでは、日本の伝統工芸品に関心が高まっているという。職人の後継者不足などにより日本の伝統工芸品は存続の危機にあるが、グローバル戦略で復活からさらに飛躍につなげることができるだろうか。
顧客の声を起点とするカスタマーデータプラットフォーム「Koeeru CDP」を運営するKoeeru(コエル)は、日本、シンガポール、ベトナムの16歳以上の合計371人を対象に日本の伝統工芸品に関するアンケート調査を実施した。シンガポールとベトナムでは、もっとも関心が高い日本製品はお菓子やお茶だが、伝統工芸品も、ファッションやテクノロジー関連製品と並ぶ人気になっている。

また、シンガポールでもベトナムでも、日本に来たことがある人のほうが伝統工芸品に強い興味を示している。日本で実際に見て好きになった人が多いとすると、その魅力は確かなものだと言える。

どこが魅力かをたずねると、美しいデザイン、高品質な素材、歴史や文化的価値、環境にやさしいなどの理由があげられた。日本人自身よりも、日本の伝統工芸品を高く評価する人が多い。

日本の伝統工芸品に魅力を感じない人の意見も貴重だ。シンガポールとベトナムでの理由の1位は、日常生活で使う機会が少ないというものだった。文化が違えば、我々にはごく普通のものが謎の物体に見えることもあるだろう。ならば、アジアの人たちに馴染みのあるものを日本の伝統工芸技術で作ってはどうか。「製品の価値や背景について知らない」、「興味を持つきっかけがなかった」という意見もあったが、そういう人には製品のストーリーを通して魅力を伝えたい。

日本の伝統工芸品に高い評価と関心が集まっている。海外の若者に向けて、クリエイティブな人たちが集まる楽しい産業へと日本の伝統工芸が若返るチャンスかもしれない。