グーグル製スマートウォッチ、Google Pixel Watch 3の高度な新機能の1つである「脈拍喪失検出機能」が、米食品医薬品局(FDA)の承認を取得した。
この機能は、すでに英国と欧州で提供されているが、米国では3月末にPixel Watch 3のユーザー向けに順次展開される予定だとグーグルは発表した(日本では現在、転倒検出機能と自動車事故検出機能が利用可能とされている)。
この健康・安全機能は、他のスマートウォッチに搭載されているSOS機能や転倒検知機能に似たもので、デバイスがユーザーの脈拍の喪失を検出すると、緊急通報を発信し、ユーザーの緊急連絡先にメッセージを送信する。
ただし、グーグルが昨年8月に発表した機能の概要によると、この通報は即座に行われるものではなく、まずはユーザーにアラートを通知し、それに反応がなかった場合に音声アラームを鳴らし、最終的に緊急通報を行う仕組みになっている。
この機能は、心臓発作を起こした人の命を救うだけでなく、「呼吸不全や循環不全、薬物の過剰摂取」などのケースで心臓が停止した場合にも有用だとされている。
技術的な観点からこの機能を有用なものにする上での大きな課題は、誤検出を最小限に抑えることだ。グーグルによれば、このテクノロジーは、「多様なグループの人々から収集した数十万時間に及ぶ実際のユーザーデータ」を活用して開発された人工知能(AI)アルゴリズムを基盤としている。
また、テストでは「スタント俳優」が参加し、止血帯を装着して脈拍の喪失をシミュレーションし、実際に起こりうる転倒や動作を再現する形で検証が行われたという。
Pixel Watch 3は、他のウェアラブルデバイスと同様に、緑色LEDを用いた光学センサーによって脈拍を測定する。これは、手首の血管に流れる血液量の変化に応じた反射光の違いを検出することで、心拍を計測する仕組みとされている。
脈拍が止まった可能性がある場合、Pixel Watch 3は心拍センサーの赤色LEDを使用して脈拍を再確認する。この赤色LEDは通常、血中酸素濃度の測定に使用されるものだ。
グーグルの脈拍喪失検出機能は、PixelやFitbit、Garminの一部デバイスにも搭載されている不規則な心拍を通知する機能の進化版と見られている。グーグルは、これを「業界初の機能」と呼んで、今後多くの命を救う可能性があると述べている。