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ビジネス

2025.02.20 10:30

高級品業界が低迷した2024年、仏エルメスは15%増収 日本が成長をけん引

エルメス(Txus Lopez / Shutterstock.com)

エルメス(Txus Lopez / Shutterstock.com)

高級品市場が低迷する中、仏高級ブランド「エルメス」は好調を維持し、2024年の売上高は前年比15%増の151億7000万ユーロ(約2兆4000億円)に達した。同社の第2、第3四半期の売上高はそれぞれ前年同期比13%増、11%増と成長に陰りが見えたが、第4四半期は同18%増となる39億6200万ユーロ(約6300億円)を売り上げた。

高級品市場で最大規模を誇る仏LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンでさえ、2024年の売上高は前年比2%減少し、市場2番手の仏ケリングも同12%減を記録するなど、昨年は同業界にとって厳しい1年となった。昨年増収した高級ブランドは全体の3分の1程度と、高級品市場は2%縮小した。利益や拡大を追求するあまり、高級路線から逸脱しつつある他の高級ブランドとは異なり、エルメスは創造性、芸術性、職人技術を最優先し、同業他社を大きく引き離している。

エルメスのアクセル・デュマ会長は2024年の決算発表で、「経済や地政学的情勢の不確実性が増す中でこのような堅調な業績を上げたことは、エルメスのビジネスモデルの強さと社員の機敏性を証明するものであり、心から感謝する」とあいさつした。この感謝を具体的な形にするため、同社は約2万5000人に上る全従業員に対し、22年と23年に支給した4000ユーロ(約63万円)のボーナスを上回る、4500ユーロ(約71万円)を年末に支給したと明らかにした。デュマ会長は「成長の果実を日々貢献してくれる従業員と分かち合う」責任ある雇用主であることを約束するとともに、投資家に対しては「品質、創造性、サヴォアフェールという基本的価値」、つまり独自のノウハウを守り続けると表明した。

為替変動が売上高にマイナス2億3500万ユーロ(約372億円)の影響を与えたものの、連結純利益は前年比7%増の46億300万ユーロ(約7300億円)となった。

エルメスにとって最大の市場はアジア

エルメスは2024年、進出しているすべての地域で売り上げが拡大した。米戦略コンサルティング企業ベイン&カンパニーによると、中国の高級品市場の落ち込みに引っ張られたアジアでも、エルメスは前年比23%の伸びを記録した日本を筆頭に、全体で前年比10%増となる約80億8500万ユーロ(約1兆2800億円)を売り上げた。アジアはエルメスにとって最大の市場で、世界全体の販売の半分以上を占める。

デュマ会長は、昨年は中国を含むすべてのアジア諸国で売り上げが伸びたと説明。中国の2025年の見通しを予測することは「複雑だ」としながらも、「全体としては明るい兆しがいくつかある」と述べた。

同社にとって第2の市場である欧州の売上高は、前年比17%増の約35億9400万ユーロ(約5700億円)だった。フランス国内の売上高は前年比14%増で、同19%増だった他の欧州諸国を下回った。

第3の市場である米州は前年比16%増の28億6500万ユーロ(約4500億円)だった。特に第4四半期には米ニュージャージー州プリンストンの新店舗と、移転した米アトランタ店の開店が功を奏し、前年同期比22%の伸びを示した。これにより、米国の店舗数は41店舗となった。

エルメスは中東やその他の市場にはほとんど進出しておらず、年間売上高の5%にも満たないが、昨年は同地域の売上高が倍増した。デュマ会長は今後、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイとアブダビの店舗に重点を置いていく方針を明らかにした。
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翻訳・編集=安藤清香

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