検察は、この創業者が会社の収益やその他の財務状況を大幅に誇張し、「大胆かつ広範囲にわたる詐欺」を行ったと起訴状で述べている。
Onの創業者で元CEOのアレックス・ベックマンとその妻のヴァレリー・ラウ・ベックマンは、電子詐欺と詐欺を目的とした共謀、証券詐欺などの複数の容疑で起訴された。弁護士であるラウ・ベックマンは、インダストリー・ベンチャーズと呼ばれるVCの法律顧問を務め、かつてGameOn Technologyと呼ばれたOnに密接に関与していた。
ベックマンが2014年に設立したOnは、Pitchbookによると、累計1億2500万ドル(約195億円)以上の資金をB3 CapitalやQuest Venture Partnersを含むVCに加え、元NFL選手のジョー・モンタナや元NBA選手のアンドレ・イグダーラなどの著名人から調達していた。しかし、検察によれば同社の年間収益は、多くの年で50万ドル(約7800万円)にも満たなかったという。
評価額が2億6000万ドル(約406億円)以上とされたOnは、MLBのニューヨーク・ヤンキースやNBAのサクラメント・キングスを含む複数のスポーツチームに顧客サービス向けのAIチャットシステムを提供していると述べていた。これらのチームはフォーブスのコメント要請に応じなかった。
ニュースサイトVenture Beatによるとベックマンは、昨年7月に彼の巧妙な詐欺行為を突き止めた取締役会によって解任され、CEOを辞任していた。その当時、株主に送られた書簡によれば、会社の口座にあるはずの1100万ドル(約17億1100万円)が実際にはわずか0.37ドルしか残っていなかったという。
また、検察によればラウ・ベックマンは、2024年6月に、会社の口座に1300万ドル(約20億2200万円)以上があるように見せかけた虚偽の財務報告書を銀行に提出したが、実際にはわずか25.93ドルしかなかったという。
インダストリー・ベンチャーズの創業者でCEOのハンス・スウィルデンズは、ラウ・ベックマンが2023年12月31日に同社を退社したことをフォーブスに確認した。彼女は、4カ月間の産休を経て退社したという。
2人は23日に逮捕され、サンフランシスコの法廷で初公判が行われた。
「ベイエリアは、素晴らしいイノベーションと懸命に働く起業家たちの土地だが、イノベーションは詐欺で成長するものではない。これらの被告らが行ったスキームは、金融市場を脅かし、投資家を欺くものだ」と連邦検察官のパトリック・D・ロビンスは声明で語った。
(forbes.com 原文)