台湾の上場企業であるHTCは1月23日の声明で、VRとAR(拡張現実)テクノロジーを含むXRチームの一部の社員をグーグルに移籍させる計画を明らかにしている。同社はさらに、XR関連の知的財産(IP)を非独占的ライセンスでグーグルに供与するとしている。この取引は、今年第1四半期中に完了する予定だとされている。
グーグルは、この取引によってヘッドセットやスマートグラス向けのAndroid XRプラットフォームの開発を加速させたい考えだ。同社は、HTCで「VIVE」などのVRデバイスを手がけたエンジニアたちが、非常に優れた技術チームだと述べている。
HTCがグーグルに事業の一部を売却するのは2度目のことで、2017年には、スマートフォン部門の一部をグーグルに11億ドル(約1700億円)で売却していた。この契約には当時、HTCがグーグルのPixel端末の開発に携わったスタッフをグーグルに移籍させることが含まれていた。
2016年に最初のVRヘッドセットを発売したHTCは、VRやARなどのXR分野に最も初期に参入した企業の一社だが、近年はアップルやメタなどの大手に遅れをとっている。
HTCはかつて、スマートフォン業界の主要なプレイヤーだったが、ここ10年ほどの間にアップルやサムスンに加えて、ファーウェイやシャオミなどの中国ブランドに市場を奪われた。HTCの創業者の王雪紅と陳文琦の夫妻は、2011年には保有資産88億ドル(約1兆3700億円)で台湾でトップの富豪となっていた。しかし、その後のスマートフォン事業の衰退により2人はビリオネアの地位を失った。
(forbes.com 原文)