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2025.01.14 08:00

「いただければと存じます」の意味とは?ビジネスシーンでの使い方と類義語・言い換え表現を例文付きで徹底解説

「いただければと存じます」の意味とは?

「いただければと存じます」とは、相手の行動や協力をお願いするときに、「もしよろしければ、その行為をしてほしい」という願望を、最大限に丁寧な形で伝える表現です。

「いただければ」は「相手の行動を自分が受け取る」敬語の言い回しであり、「と存じます」は「そうしていただけるとありがたいと思っています」という敬意と控えめなニュアンスを表します。 つまり、単に「してほしい」ではなく、「お手数をおかけしますが、ご無理のない範囲でお願いしたい」という気持ちがこもった依頼フレーズです。 ビジネスメールや会議での依頼、取引先への要望など、かしこまった場面で非常に活躍します。

たとえば、資料を作成してもらうときに「資料をご準備いただければと存じます」と言えば、「もし可能であれば準備をお願いします」という控えめかつ丁寧なお願いとなります。 相手も強制されていると感じにくく、かつ礼儀正しい印象を受けられるため、ビジネスコミュニケーションで多用される表現です。


なぜビジネスシーンで使われるのか

相手に負担をかける依頼をやわらかく伝えるため

仕事の依頼や要望は、どうしても相手の時間や手間を奪う行為になります。 「いただければと存じます」という言い回しを使うことで、「押し付ける形ではなく、可能なら対応をお願いしたい」と示唆し、相手の負担感を軽減しながら依頼ができます。 そのため、取引先や上司、目上の人への要望メールなどにおいて、非常に重宝される表現です。

敬語としての距離感を保ちつつ、柔らかい印象を与えるため

「○○してください」だと、相手に命令的に聞こえるおそれがあります。 しかし「○○していただければと存じます」と言えば、「自分の都合はあるが、相手の意思を尊重している」というスタンスを示せます。 こうした配慮は、相手とのビジネス関係を円滑に保つうえでも重要と言えるでしょう。

ビジネスシーンでの具体的な使い方

メールでの依頼や要望表現

「お忙しいところ恐れ入りますが、◯◯のご準備をいただければと存じます。 不明点がありましたら何なりとお申し付けください。」 このようにメールの本文に書くと、相手に「準備をお願いしたい」という意図を柔らかくかつ丁寧に伝えられます。 送り手としては、相手が断る余地を残した上で、スムーズに協力を得ようとする狙いがあるわけです。

口頭での会議や商談時の発言

たとえば、会議の場で上司やクライアントに「来週のミーティング資料につきまして、ご確認いただければと存じます」と言えば、作成した資料を目上の相手に提出した際に、丁寧に目を通してほしいと示せます。 「もし余裕があれば、ぜひ見てもらいたい」という気遣いも含まれるため、命令口調にならずに依頼が可能です。

「いただければと存じます」を使う際の注意点

内容・背景を具体的に提示する

「いただければと存じます」と言うだけでは、何をしてほしいのかが曖昧になるリスクがあります。 「ご確認いただければと存じます」なら「何をどのように確認するのか」、あるいは「その確認の目的は何か」を短く添えて、相手に分かりやすく伝えることが大切です。 相手がすぐに行動しやすい形にしておくほど、スムーズに要望をのんでもらえます。

強制力を伴う場面では不向き

納期厳守の案件や、どうしても相手に必ずやってもらわなければ困るような事項については、「いただければと存じます」だとやや弱すぎる可能性があります。 その場合は「◯◯をお願いしたく存じます」や「◯月◯日までにご対応ください」といった、強めの依頼表現を組み合わせることも視野に入れておいたほうが無難です。

「いただければと存じます」と似た表現との違い

「ご検討いただけますと幸いです」との比較

「ご検討いただけますと幸いです」は「検討してほしい」という意図が主体で、「幸い」という単語を使って感謝の念を伝えているイメージです。 これに対し「いただければと存じます」は、「検討(または対応など)をしてもらうことをこちらは希望している」という点を強調しています。 どちらも丁寧な依頼ですが、相手の行動を促す方向性が若干異なります。

「〜していただけると助かります」との比較

「〜していただけると助かります」は、相手が行動してくれると自分が助かる、という自分目線のニュアンスが強めです。 「いただければと存じます」は、相手への敬意を中心に据えた上で、「そうしていただけることを期待している」イメージをもたらします。 どちらも柔らかな依頼表現ではありますが、微妙な雰囲気の違いが生まれます。

類義語・言い換え表現

「お願いできれば幸いです」

「お願いできれば幸いです」は、同様に「相手が対応してくれたらうれしい」というやんわりとした依頼形です。 「いただければと存じます」よりもややフレンドリーに映るため、同僚やそこまで格式ばらない関係の相手に使いやすいかもしれません。

「ご対応いただけるとありがたいです」

「ありがたいです」は感謝や恩恵を受けるニュアンスが濃いため、相手の行動によって自分が助かる立場を強く表す言い換えです。 ビジネスメールなどで丁寧に依頼するときに使いやすいですが、ややカジュアルに感じる人もいるため、相手との距離感に注意しましょう。

「◯◯していただけますでしょうか」

いわゆる疑問形での依頼として、「◯◯していただけますでしょうか?」と尋ねるパターンです。 「いただければと存じます」よりも直接的に「やってもらえますか?」と聞くニュアンスになりますが、丁寧さは保てます。 こちらのほうが回答しやすいと感じる相手もいるかもしれません。

ビジネスでの例文

1. メールでの資料依頼

件名:
新商品プロモーション資料のご準備のお願い

本文:
◯◯株式会社 ◯◯部 ◯◯様

いつも大変お世話になっております。
新商品のプロモーション企画にあたり、過去の事例や参考データを確認したく存じます。

お忙しいところ恐縮ですが、該当の資料をご準備いただければと存じます。
もしご不明点などございましたら、どうぞお気軽にお知らせください。
何卒よろしくお願いいたします。

株式会社△△ マーケティング部 ××


この例では、「ご準備いただければと存じます」という形で、相手の資料提供を依頼しています。 必要性を簡潔に明示しつつ、相手の負担への配慮を示しています。

2. 口頭で上司に日程調整を依頼する場合

「◯◯部長、失礼いたします。 来週のクライアント訪問に同行させていただきたいのですが、お時間を少し調整いただければと存じます。 もしご都合がつかない場合、別途ご提案いただけますと助かります。」

ここでは「調整いただければと存じます」を使い、上司の都合を尊重しながらも希望する行動(調整)を期待している雰囲気を出しています。

使い分けのポイント

相手の立場に合わせて敬語度合いを調整する

「いただければと存じます」はかなり丁寧な依頼表現です。 目上の相手やクライアントには打ってつけですが、社内のフランクな関係では「お願いできればありがたいです」や「対応していただけると助かります」程度で済む場合もあります。 相手との距離感を考えつつ、表現を変えるとスムーズなコミュニケーションが図れます。

依頼事項を明確にし、具体的な時間や内容を添える

「いただければと存じます」は、依頼をまるごと相手に投げる形になるため、曖昧な状態だと相手が対応しづらいかもしれません。 「資料をいつまでに提出してほしいのか」「どのようなフォーマットが望ましいのか」など、必要な情報を先に提示し、相手の混乱を減らす工夫が大事です。


まとめ

「いただければと存じます」は、ビジネスで相手に何かをお願いするときに用いる敬語で、「してもらえたらありがたい」という控えめかつ丁寧なニュアンスを持った表現です。 上司や取引先など目上の相手に使いやすく、特にメールや文書で「お願いや要望をソフトに伝えたいとき」に効果を発揮します。

ただし、相手との距離感や依頼の重要度・緊急度に応じて、表現の強さを調整することが必要となります。 また、「具体的に何をいつまでにしてほしいか」など要点をきちんと添えることで、相手が対応しやすくなり、依頼の成功率も高まるでしょう。 ビジネスコミュニケーションでは相手への思いやりと正確な情報伝達が欠かせませんので、「いただければと存じます」を上手に活用しつつ、分かりやすい説明を心がけてみてください。

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