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2025.01.13 08:00

「諸々承知いたしました」の意味とは?ビジネスシーンでの使い方と類義語・言い換え表現を例文付きで徹底解説

「諸々承知いたしました」の意味とは?

「諸々承知いたしました」は、相手が伝えた内容や要望、注意点などを複数含めて、すべて理解し受け止めた旨を丁寧に表現するフレーズです。 「諸々」とは「いろいろなこと」「様々な点」という意味合いを持っており、単に「承知しました」と言うよりも、「細かな部分を含めて全部理解しましたよ」と強調するニュアンスがあります。

ビジネスの現場では、複数のタスクや要件を同時に把握する場合や、相手から細部にわたる指示・要望をまとめて受け取る場面でよく使われる表現です。 改まった印象を与えやすい言葉遣いのため、社内外を問わず、丁寧なコミュニケーションを求めるシーンで活躍します。

例えば、上司から「これとこれを〇日までに仕上げて、資料の体裁も整えてほしい。あと顧客へメール送付もお願い」といくつか指示があった場合に、「諸々承知いたしました」と返すことで、「すべて理解しました、対応します」という姿勢を示せるわけです。 単なる「分かりました」よりも、「全て細かい点まで把握し、納得した」というニュアンスが際立つのが特徴といえます。


なぜビジネスシーンで使われるのか

一度に複数の指示や情報を受け取る場合が多いため

プロジェクトの進行や日常業務では、一度に複数のタスクや要件が飛び交うことが少なくありません。 「諸々承知いたしました」は、そのような状況で「細かな点や追加で挙げられた事項も含めて、すべて理解しました」という意味合いを、まとめて伝えやすい表現です。 情報量の多い連絡を受けたときに、「分かりました」を連発するよりも、一度に「すべて承知しています」と示す方が、相手も安心できるわけです。

相手に「抜かりなく把握している」印象を与えるため

ビジネスでのミスや抜け漏れは、プロジェクトの遅延やトラブルに直結します。 「諸々承知いたしました」と使うことで、相手には「細部まできちんと受け取りましたよ」という安心感を与えられます。 要件を複数書き出してもらった際などに、このフレーズを用いると、相手の不安や疑問を和らげられるのがメリットです。

ビジネスシーンでの具体的な使い方

メールでの要望を一括受領するケース

取引先から複数の修正指示や要望が送られてきたメールに対し、返信する際に「ご連絡ありがとうございます。諸々承知いたしました。早速、順次対応を進めてまいります。」と書くことが可能です。 こうした書き方は「ひとつひとつに対して理解した」だけでなく「全体として把握している」イメージを相手に伝えられます。

上司から口頭で複数の指示を受けたとき

上司が「A社への見積書を◯日までに作成して、B案件の資料の修正も頼むよ。それからCプロジェクトの進捗会議に参加してほしい」など、いくつかタスクを提示した場面で、「諸々承知いたしました。すぐに着手いたします。」と返すパターンです。 これにより、ひとつひとつ「分かりました」と細切れに言う手間を省き、「すべて把握した」とまとめて表現できるわけです。

「諸々承知いたしました」を使う際の注意点

本当に細部まで理解したか、再確認が必要

複数の事項が含まれている場合、軽々しく「諸々承知いたしました」と返してしまうと、あとで「実は把握しきれていなかった」という事態にもなりかねません。 「すべて理解した」と宣言する以上、要点や不明点がないか整理し、必要があれば相手に再確認することが大切です。 「承知いたしました」と言いつつ疑問が残ったままだと、信頼を損なう可能性があります。

過度な頻用を避ける

「諸々承知いたしました」は便利なフレーズですが、過度に使うと「この人は常に同じ言い回しで済ませているだけかも」と形式的な印象を与える恐れがあります。 あくまで複数の要件や注意点があるときに「まとめて理解した」ことを示す表現であり、状況に応じて「かしこまりました」「承知しました」など別の敬語もバランスよく使うと良いでしょう。

「諸々承知いたしました」と似た表現との違い

「承知いたしました」との比較

「承知いたしました」は単に「了解しました」「理解しました」という敬語表現で、個別の指示や要望に対しても使いやすい汎用フレーズです。 一方、「諸々承知いたしました」は「さまざまなポイントを含めてすべて把握した」というニュアンスが強く、複数事項や細かい指示を一括して受け取るイメージを与えます。 複数の依頼があるなら「諸々~」、単一の依頼なら「承知いたしました」と意識すると違いが明確でしょう.

「かしこまりました」との比較

「かしこまりました」は、接客業やサービス業でも多用される丁寧な敬語で、相手の指示や要望を快諾する際に用いられます。 「諸々承知いたしました」は、その内容が多数かつ具体的である場合に向いているのが特徴といえます。 また、「かしこまりました」は「承諾と理解を示す」ニュアンスに重きがありますが、「諸々承知いたしました」は「すべて理解したうえで対応する」という点を強調します。

類義語・言い換え表現

「すべて承知しました」

「諸々承知いたしました」とほぼ同義と言えますが、「すべて承知しました」とするとややストレートな印象になります。 丁寧さでは「諸々承知いたしました」がやや上回るかもしれませんが、「すべて承知しました」でも十分敬語として通用します。

「全内容、把握いたしました」

「諸々承知いたしました」を言い換える場合、「全内容を把握しました」という表現も可能です。 しかし、「把握」という言葉は「理解」や「認識」を指すので、相手からの依頼を「受け入れる」ニュアンスはやや薄く、どちらかといえば「情報を理解した」ことを強調する感じとなります。

「細部まで承知しました」

これも同様に、複数ある要素をすべて理解したことを示す表現です。 「諸々承知いたしました」ほど日常的ではなく、「細部」という単語が入ることで「詳細まで目を通した・頭に入れた」というニュアンスが際立ちます。 メールやドキュメントで詳細事項を一気に伝えられた際に適しているでしょう。

ビジネスで「諸々承知いたしました」を使用する例文

1. メールで複数の修正依頼を受けたとき

「ご連絡ありがとうございます。 いただいた修正点につきまして、◯◯の追加やデザイン変更など諸々承知いたしました。 早速、各項目について対応を進めてまいりますので、完了次第ご報告いたします。 何かほかにご要望がございましたら、遠慮なくお知らせください。」

複数箇所の修正依頼に対して、まとめて「諸々承知いたしました」と述べることで、すべての修正点を把握したことを端的に表現しています。

2. 上司からまとめて作業指示を受けた際

「◯◯部長、ご説明ありがとうございます。 スケジュール変更と新規企画のプレゼン資料作成、それから取引先へのご挨拶日程調整といった諸々承知いたしました。 急ぎ、タスクを整理して順次進めさせていただきます。 何か追加がありましたら、ご連絡いただけますと幸いです。」

上司から複数の指示をもらった場面において、「諸々承知いたしました」を使うと「いくつかの業務をすでに総括的に認識している」という印象を相手に与えられます。

使い分けのポイント

状況を再確認するタイミングを設ける

「諸々承知いたしました」だけで対応を始めるのではなく、本当に理解できているかどうかを確認するため、「具体的にはA、B、Cの3つのタスクですね」とまとめる工程を挟むと、認識違いを防げます。 また、相手にも「こちらの要望や指示が正しく伝わった」と安心してもらえるでしょう。

相手や場面に応じて、別の敬語表現との使い分け

「承知しました」「かしこまりました」「了解です」「すべて把握しました」など、多彩な表現があります。 フランクな上司や同僚には「OKです、すべて了解!」と返す場合もあるでしょうし、取引先や顧客には「諸々承知いたしました」と丁寧さを高めるといった使い分けが肝心です。


まとめ

「諸々承知いたしました」は、相手からの複数の指示や要望・情報をすべて理解し、受け取ったことをまとめて表現する敬語フレーズです。 ビジネスシーンでは、複数点の変更依頼や細かい要件を一度に知らせてもらった場合など、タスクが多岐にわたるときに特に便利な言い回しとなります。

ただし、あまりに連発すると無機質・形式的な印象を与える可能性もあるため、実際には内容を要約したり、具体的な確認を挟んだりすることが大切です。 「諸々承知いたしました」は「あなたの提示してくれた多様な要素をすべて把握しています」というアピールであり、相手にとっても「この人はちゃんと理解してくれたんだ」と安心材料になるはずです。

上手に活用すれば、やり取りの信頼感を高めるうえで大いに役立つでしょう。 一方で、「承知しました」「かしこまりました」など他の表現とも使い分けながら、スムーズなコミュニケーションを図ってみてください。

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