博報堂教育財団「こども研究所」は、小学4年から中学3年の子どもたちを対象に、隔週日曜日に「いまの気分調査」を行っている。子どもたちに、どれだけ「しあわせ」を感じたかを点数で答えてもらい、今の気分を表すオノマトペを選んだり、心に残った出来事を話してもらったりしている。子どもの「いま」を知り、年間の子どもの心の動きや、それに影響している要因を明らかにすることが目的だ。
その特別編として「2024年の気分調査」が発表された。それによると今年1年の「しあわせ点数」は平均81.5点と高い。小学生の平均が86.3点で、中学生は76.7点とやや落ちる。この調査では、高校生と大人を対象としたデータも示されているが、しあわせ点数は年齢が高くなるほど低くなり、40代が53.7点と際立って低く、50代から再び上昇している。親世代があまり幸せを感じていないことが、いずれ子どもに影響するのではないかと心配だ。
心に残る出来事は、5つを自由回答で答え、そこからいちばんだったものを1つを選ぶことになっている。その結果、小中学生でもっとも多かったのは「家族や親戚との旅行」だった。修学旅行や課外授業も多い。テキストマイニングでは、「行く」という言葉が大きく示された。
オノマトペは、1位が「わくわく」、2位が「やったー」となった。大人でもほぼ同じ結果が出ているが、大人の場合は、順位はさほど変わらないものの、ポジティブな言葉の比率は少なく、「どんより」、「うんざり」といったネガティブな表現の比率が高くなる。心が疲れている様子が、ひしひしと感じられる。
問題は、2025年への期待だ。自身のことについては、勉強をがんばりたい、志望校に入りたいといった前向きな願望が上位に見られるが、「社会や世の中のこと」では「平和で戦争のない世界」、「物価安定・インフレ抑制」、「自然災害・地球温暖化制御・環境保全」などと続く。災害は仕方ないとして、戦争や物価は大人の責任だ。子どもたちにそんな心配までさせているのかと思うと心が痛む。せめて、大人が率先して幸せになって、明るい世の中を作りたいものだ。
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