登壇した伊藤は、「初音ミクを登場させるコンサートでは同時に企画展を併催し、クリエイターの作品を展示したりクリエイターになるためのワークショップなどを行い、クリエイターを増やすための活動をしている」と説明。「日本発の創作文化を世界に広めるために2011年から海外でのコンサートも開催し、さっぽろ雪まつりに合わせて開催する『SNOW MIKU』というイベントではファンが北海道を訪れる機会を創出している」と、その意義も明かした。
ファイナリスト7社が受賞した部門賞は、以下のとおり(順不同)。
日本熱源システム 原田克彦:グランプリ、グリーンレボリューション賞
クリプトン・フューチャー・メディア 伊藤博之:グランプリ、グローバル賞
赤坂水産 赤坂竜太郎:グローカル賞
白山 米川達也:ウィルパワー賞
ナンガ 横田智之:ローカルヒーロー賞
エリジオン 小寺敏正:カッティングエッジ賞
ナイガイ 田中康一:サイレントヒーロー賞
グランプリの選考について、編集長の藤吉は日本熱源システムに対して「温暖化と戦うにあたって、世界の技術を統合していくぞという姿勢、リーダーとして旗を掲げているところが素晴らしい。大きな戦いに向けて頑張っていただきたい」と評価した。
グランプリを受賞した原田は「人類が直面している地球温暖化の問題は、長年冷凍機を扱ってきた私たちにも大きな罪があると思っている。フロンガスによる地球温暖化からの方向転換はまだはじまったばかりで長い道のりだが、人間が長くこの地球で繁栄して行くためには、非常に重要なこと。これからはスモールの範囲ではなく、どんどん発展して行くことで恩返しができるのではないか」と思いを明かした。
また、同時受賞したクリプトン・フューチャー・メディアについて、藤吉は「伊藤さんは北海道で人を作ることを90年代から一貫して続けてきた。これは経営を超えて経営思想が一貫していることだと、審査員も一致して感銘を受けた。初音ミクが注目されがちだが、経営思想にも光を当て、伊藤さんのような経営者が若い世代に増えていくことを望みグランプリとしてもう1社選んだ」と選出経緯を明かした。
伊藤は受賞を受け、「クリエイターを育てる、クリエイティブなことを進めていくことは経済的価値を感じにくいところがあると思う。ただ、クリエイティビティは国力であり、音楽やイラストだけでなく、製品や農業、漁業、街づくり、国づくり、人づくりもすべてがクリエイティビティ」と言及。次のように今後の活動への思いも語った。
「クリエイティビティは誰もがもっているもので、特定の天才だけのものではない。そのクリエイティビティがインターネットによって繋がって、日本だけでなく世界に広がっていくと初音ミクを通して学んだ。その学びを北海道や日本にもフィードバックしたいと思い、イベントも開催している。これからも北海道からクリエイターを育て、増やしていきたい」
会社の規模のモノサシでは測れない、大きな影響力をもつ「小さな巨人」たち。独自の方法で幾多の困難を乗り越え、世界に影響を与えるまでに成長してきた彼らの歩みから、多くの学びを得る機会となった。スモール・ジャイアンツ特集は、「Forbes JAPAN 2025年4月号(2月発売号)」で展開する予定だ。