これだけ効果が示された自律型人材育成だが、現実の自律型人材が企業内にいる割合はいまだ低い。半数以上という答えが3割を超えたのは、従業員数3万人以上の企業だけだった。まったくいないという答えもあり、目立つのは、「まったくわからない」だ。
自律型人材育成には課題もある。もっとも多かったのは、育成のためのコストの問題だ。だが「発生した課題はない」という答えも同じ約3割あった。そのほか、管理職の負担増、社員間の学習格差、離職率の上昇、社内の規律の乱れといった問題もわずかながら見られた。
自律型人材育成は、始まってまだ日が浅いこともあろうが、約4割の実施企業で離職率が低下したと効果を認めている一方で、離職率が上がってしまった企業がわずかにあること、また育成施策にかかる工数が減ったと答えた企業が2割強あるのに対して、工数が増えたという企業も2割あったことなどからから推測するに、正しい取り組みができていない企業が多いようだ。
自律型人材育成では、自律的能力を存分に発揮して業務に貢献できる、安心して自分で判断できる環境作りも自律型人材育成には欠かせない。個人の能力だけ高めて、上司がそれをうまくマネージメントできなければ、自律的社員はもっといい会社に転職してしまうであろうことは容易に想像できる。
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