一方、評価額が100億ドル(約1兆4850億円)のNotionもブレイントラストのヘビーユーザーの1社だ。同社の開発者たちは以前、失敗したプロンプトやエラーを手動でファイル経由で共有していたため、膨大なタスクに追われていたが、ブレイントラストのツールによってその負担から解放されたという。「彼らのツールは、複雑なプロダクトを自信を持って構築できるようにしてくれる」とNotion共同創業者のサイモン・ラストは語った。
複数の競合
「AIの未来は、evals(評価機能)にある」と、イーロン・マスクが立ち上げたxAI(エックスエーアイ)共同創業者のグレッグ・ヤンが、先日のX(旧ツイッター)の投稿で述べていたように、評価機能はAIコミュニティでますます注目されており、ブレイントラストには複数の競合が存在する。AIの評価機能のスタートアップとしては、6月に他のLLMを評価するための独自のAIモデルを発表したGalileo(ガリレオ)や、英国のHumanloop(ヒューマンループ)などが知られている。また、OpenAIも先日、独自の基本的な評価ツールを発表した。
投資家たちは、ブレイントラストのようなAIの評価機能を手掛ける企業が、クラウド業界の発展をアマゾンのAWSやマイクロソフトのAzure(アジュール)らが助けたように、AIの発展を助け、主要なAI研究所と相互に協力する中立的なビルディングブロックを提供することになると予測している。Notion共同創業者のラストは、1社のモデルの提供者、たとえばOpenAIに全てを任せるのは「狂気の沙汰」だと述べている。「誰も縛られたくないんだ」と彼は語る。
一方でゴヤルは、ブレイントラストにとっての最大のリスクは、他社に先を越されることではなく、AIツール全般が人々の期待に応えられないことだと考えている。「もしもAIが今後も影響力を維持すれば、私たちは非常に良いポジションにいることになるが、その逆もあり得る。私が今やっている賭けは、そういうものだ」とゴヤルは語った。
(forbes.com 原文)