超新星の反動
もう1つの仮説は、超高速星がかつて連星系を構成していた恒星で、伴星が高密度の白色矮星だった可能性があるというもの。白色矮星は終末期の恒星の圧縮された中心核だ。この白色矮星が必然的に超新星爆発を起こし、恒星が吹き飛ばされたというわけだ。論文の筆頭執筆者で、カリフォルニア大サンディエゴ校の教授を務めるアダム・バーガッサーは「この種の超新星では、白色矮星が崩壊することで伴星の恒星が放り出され、当初の公転速度に超新星爆発による反動をも少しプラスした速度で飛び去る」と説明している。「今回の推算は、このシナリオが有効であることを示している。だが、白色矮星はもはや存在せず、数百万年前に起きた可能性が高い超新星爆発の残骸はすでに消散しているため、これが超高速星の起源であることを示す決定的証拠がない」
移動し続ける
宇宙空間にあるものは何も静止していない。太陽系の惑星は太陽を公転しており、地球は秒速約30kmで移動している。太陽もまた、銀河系の中心を周回している。太陽の回転速度は、秒速約250kmだ。今回発見された超高速星は、この約2.5倍の速度で移動している。J1249+36の異常な速度に気付いたのは、市民科学者約8万人が参加するWISE画像分析プロジェクト「Backyard Worlds: Planet 9」だ。WISEミッションは、8月8日に終了した。フォローアップ観測は、ハワイ島のマウナケア山頂にあるケック天文台とマウイ島のハレアカラ山頂にあるパンスターズ望遠鏡、およびその他複数の地上望遠鏡で行われた。
(forbes.com 原文)