藤田 豪:東京は選択肢が多すぎるし、地方だと逆に仕事がないという声を聞きます。地方の優秀な人は、大体役所か銀行に勤めますが、その選択もいいけれど、もっと世の中を変えられるような選択肢があるよと言いたい。
最近は岐阜の大垣共立銀行が、岐阜大学の前にインキュベーション施設を作りました。岐阜大学の学生が授業終わりにメンタリングを受けることも起こっています。名古屋大学でも起業家志望の学生が増えていますし、愛知・三重・岐阜・静岡の22大学に共通する学生向けの起業家育成プロジェクトも発足しています。
起業に関するインフラが整っていることによって、人生の選択肢として起業もありかなと考える学生がいる。そういう考え方を持っている学生の一部がベンチャーキャピタリストを目指してくれるといいなと思っています。
例えば、名古屋大学と一緒にベンチャーキャピタリスト養成講座を作って、学生のうちにベンチャーキャピタルを学べる場所を作ることも考えています。社会人も来れる講座にすることで、地域の人や金融機関の若手にも一緒に来てもらえれば、地域でキャピタリストを増やすことができます。
他の地域でいいなと言ってくれる人にカリキュラムをそのまま渡せば、東北でも、岡山でもできる。何年か経てば、地方からキャピタリストが絶対増えると思います。
山田:ベンチャーキャピタリストの地方の比率を増やすイメージですか?
藤田 豪:そうです。でもやっぱりまだまだ認知度は低いです。
国のスタートアップ育成5か年計画で、スタートアップへの投資額を5年で10倍にすると言われていますが、ベンチャーキャピタリストを10倍にするという話は出ていません。じゃあ誰がどうやって投資をするのか、という話なんです。
山田:兼業のベンチャーキャピタリストが増えれば良いと思っています。専業だとどうしても規模が必要になりますが、兼業であれば関わりしろがもっと作れる。僕らも1億ファンドでやっていると専業ではやっていけませんが、自分で事業を持っているからできていますし。
藤田 豪:確かに、1億ファンドがもっといっぱいあっても良いですね。
初めての投資 スタートアップを応援するファミリー感
藤田 豪:Central Japan Seed Fundでは、初めてベンチャーファンドに出資した方が多いです。山田:27社という多くの出資者と、特に地域のマスコミはどうして口説けたんでしょうか?
藤田 豪:地域の課題解決をする、東海地域名古屋発の地元VCであるファンドに出資しないでどこに出すんですか?という話をしました。
シードと言われるスタートアップへの投資なので、まだ商品・サービスも出来上がっていないし、値段も決まっていない、従業員もいないかもしれないということも話しています。実証実験を行うために人もお金も欲しいので、それを提供してくれるなら出資してくださいと。
藤田:そんなに上からで大丈夫なんですか.......?
藤田 豪:それを前提に出資してくれているので、27社の出資してくださった方々は常にキャッチャーミットを構えて待ってくださっています。投資したと言うと、経営層も現場も動いてもらえるのでファミリーのように強いんです。
定期的にミートアップもしていて、自分たちが出資したお金がどんな起業家に渡っているのか、その起業家は何を考えて仕事をしているのかを顔を見て話すことで、さらに人を紹介したりする動きになっていきます。