世界的な砂不足解消に、ホタテからテトラポッド

プレスリリースより

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日本有数の天然ホタテ水揚げ量を誇る北海道猿払村では年間4万トンという大量の貝殻の処理に頭を悩ませていたが、現在は最新技術を導入してアップサイクルに取り組んでいる。その最新作がホタテの貝殻から生まれた消波ブロック「ホタテトラポッド」だ。これは単に貝殻の廃棄量削減に留まらず、世界的な問題となっている砂不足の解消、海中の二酸化炭素を固定するブルーカーボン拡大にも貢献する一石三鳥のアイデアだ。

世界各地の都市化によるビルの建設ラッシュと気候変動により、世界の砂が枯渇の危機にあると国連環境計画は警鐘を鳴らしている。砂漠の砂は細かすぎてコンクリートには不向きなため、もっぱら海岸の砂が大量に掘り出されている。また地球温暖化による砂浜の消失も砂不足に拍車をかけている状態だ。

猿払村では、年間約2万5000トンの消波ブロックが作られて設置されている。コンクリート製の消波ブロックには大量の砂が使われるが、ホタテトラポッドは砂の半分をホタテの貝殻を粉砕したシェルサンドに置き換えた「シェルコンクリート」で作られている。それにより、猿払村の砂の消費量は年間431トン削減できるという。

また、生物の特性を模倣する「バイオミミクリー」をデザインに採用し、ホタテの貝殻のリブ構造(筋)を取り入れることで、海藻類が着生しやすくなり、ブルーカーボンの拡大も期待できる。バイオミミクリーは、2022年に猿払村が甲子化学工業、TBWA HAKUHODOと共同で開発した、ホタテの貝殻を使ったヘルメット「ホタメット」にも採用されている。ホタテのリブ構造を取り入れることで強度が増し、しかも見た目に美しいデザインになった。

ホタテトラポッドは、甲子化学工業、TBWA HAKUHODOのほか、清水建設、消波ブロック製造のノウハウを提供する不動テトラ、シェルサンドとシェルコンクリートの製造ノウハウを提供する日本国土開発、シェルコンクリートを製造するササキとの共同で開発されている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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