気候目標達成への貢献、参加者にできることは?
大半の参加国は気候問題の深刻さを認識し、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ目標」を設定している。パリ五輪が気候変動への配慮を掲げている点を考えれば、おそらく各国選手団は少なくとも排出を回避できる活動については、温暖化対策に足並みをそろえるべきだろう。航空機移動がまず最大の排出要因となろうが、物議を醸しているのはエアコンの使用である。
世界各地と同じくパリの夏は近年、暑さを増している。屋外会場の温度管理は難しいが、大会組織委は選手村の快適さを維持することに腐心している。かなりのストレスにさらされるであろうアスリートたちがしっかり休息をとり、睡眠不足で競技に影響が出ることのないようにしなければならない。
環境への配慮の一環として、大会組織委はエアコンを設置しないと決めた。代わりに床下に送水管を張り巡らせ、冷水を流すことで室温を下げる冷却設備を導入している。
使うべきか使わぬべきか、それは五輪規模の問題だ
だが、このフランスの冷却設備に、一部参加国は感銘を受けなかった。米国、カナダ、英国、イタリア、ドイツ、ギリシャ、デンマーク、オーストラリアなどの五輪委員会は、ポータブルエアコンを持ち込むと決定した。米オリンピック・パラリンピック委員会のサラ・ハーシュランド最高経営責任者(CEO)は、次のように説明した。「ご想像いただけるだろうが、今はチームUSAのパフォーマンスにとって一貫性と予測可能性が肝心な時期だ。選手との会話でも、暑さ対策は非常に優先順位が高い。競技で好成績を収めるためにも、慣れ親しんだ対策に対する予測可能性と一貫性においても、重要な要素だと選手たちは感じている。よって、エアコンを導入する」
これは2つの理由から問題のある選択だ。