北米

2024.06.18 15:00

米メリーランド州で大麻犯罪17万件以上に恩赦、「前科」を抹消へ

ウェス・ムーア知事(Photo by Andrew Harnik/Getty Images)

米国・メリーランド州のウェス・ムーア知事は現地時間6月17日、大麻所持などに関連する17万5000件の有罪判決を恩赦するための行政命令に署名した。

この命令の対象には、2023年1月1日以前に起訴された大麻所持罪15万件以上と、薬物に関連する軽犯罪1万8000件以上が含まれている。メリーランド州は、昨年7月に娯楽用大麻を合法化したが、合法化前に有罪判決を受けた人々は、前科の記録が残っているために、雇用や住宅の契約などの機会が制限されることが問題となっていた。

複数のメディアの報道によると、今回の措置により約10万人が恩赦を受ける見通しで、知事室によると、前科の電子記録は司法当局によって2週間以内に恩赦を反映するよう更新される予定という。

「メリーランド州は、歴史上最も公平で効率的な成人向けの大麻市場を立ち上げた」とムーア知事はX(旧ツイッター)に投稿した。「しかし、この合法化は、数十年に及んだ麻薬撲滅キャンペーン(War on Drugs)が引き起こした被害を巻き戻すものではない。我々は合法化の恩恵を祝うにあたって、過去の法制度が招いた悪影響を忘れてはならない」と同知事は述べ、これまでの大麻に対する罰則が逆効果だったことを示唆した。

2月のピュー研究所の報告書によると、娯楽用大麻を合法化した州は24州に上っている。マサチューセッツ州のモーラ・ヒーリー知事も3月中旬に、大麻所持の有罪判決に対する包括的な恩赦を求めると発表した。

メリーランド州は、2023年7月1日に娯楽用大麻を合法化した。ワシントン・ポスト紙はその翌月、同州の娯楽用大麻の初月の売り上げが8700万ドル(約137億円)を突破したと報じていた。

米国では医療用や娯楽用の大麻を合法化する州が増える中で、連邦政府も大麻の規制を見直す動きを見せている。大麻はこれまでヘロインやLSD、エクスタシーなどと同様に、乱用の可能性が最も高いドラッグを意味する1類に指定されていたが、米司法省はこれを乱用の可能性がより低い、一部の解熱鎮痛剤などと同じ3類に変更する提案を5月に発表していた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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