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2024.06.19 09:00

グルーポン創業者の「医療AI企業」が上場、時価総額1兆円に

課題は早期の黒字化

レフコフスキーは、富を増やし経験を積むにつれ、設立した企業の株式保有比率を高めていった。2006年にマーケティングテクノロジーのインナーワーキングスが上場した際に、彼は約11%の株式を保有していた。2009年にエコー・グローバル・ロジスティクスが上場した際には13%、2011年にグルーポンが上場した際には21%を保有していた(その後、インナーワーキングスとエコー・グローバルは、上場を廃止しており、グルーポンの株価は、IPO価格から95%下落している)。

テンプスAIが株式市場で長期的に成功を収められるかどうかは、早期に収益分岐点に到達できるかどうかにかかっている。同社は、2022年から2023年にかけて66%の収益増を記録したにもかかわらず、今もなお赤字だ。届出書類によると、テンプスAIは現在、運転資金として5700万ドル(約9億円)を保有しているが、負債は4億5000万ドル(約709億円)に及んでおり、現在の事業計画が遂行できる期間を「少なくともあと1年」としている。

「この会社は、企業が莫大な損失を出すと罰せられる時代に、莫大な損失を出している」と、シーキングアルファのアナリストのドノバン・ジョーンズは述べている。ここ最近、株式公開を行ったハイテク企業は、「それを待つことができる企業よりも、切迫した資金調達を迫られている」とジョーンズは付け加えた。

長期的なビジョン

しかし、レフコフスキーは会社の収益の伸びを考慮して、楽観的な見通しを立てている。テンプスAIが現在の軌道に乗ったまま推移すれば、「そう遠くない将来」に黒字化できると彼は述べている。

ベイリー・ギフォードは、テンプスAIに多額の投資を行った理由をブログ記事で詳しく説明し、同社の2本柱となるビジネスモデル、すなわち、収益の62%を占めるゲノミクスおよび関連検査、そして残りの38%を占めるデータおよびサービスを強調した。テンプスAIは、より多くの患者が同社に検体を送り分析を依頼することで、データ自体が成長し改善されるという収益化能力を備えており、これが収益化につながる可能性があるという。

ヘルスケアテクノロジーコンサルタントのブルース・クインは、臨床記録と臨床検査サービスを1つの会社に統合するというレフコフスキーのビジョンを高く評価し、「それが彼のリーダーシップの特長だ」と述べている。クインはまた、「通常はキャッシュフローがプラスになる」とされる製薬会社との提携を拡大し続ければ、テンプスAIは成長できると付け加えた。

会社の成長が続く中、レフコフスキーは、テンプスAIが医師のために作成し、患者への検査や治療を提案する際に役立つAIモデルのようなサービスを収益化できることを期待している。このようなモデルは現在、同社にとって大きな収益源にはなっていない。しかし、彼は「当社のような企業に対して、これをどのように報酬として支払うのが適切なのかはまだわかっていませんが、いずれそうなるのであれば、広く普及していくと信じています」と述べている。

テンプスAIは、レフコフスキーにとって4社目の上場企業だが、IPO時に自ら創業した企業のCEOを務めているのは、初めてのことだという。

「この会社を立ち上げたとき、大きな学びの一つは、時間をかけてビジネスの基盤を固めることが本当に大事だということでした。腫瘍学に焦点を絞り、米国という一つの市場に焦点を絞る。急成長し、国際的に急成長するのではなく、長期的な成長を維持できる基盤の構築に真摯に取り組むというビジョンを描いたのでした」と、レフコフスキーは述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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