欧州

2024.06.12 09:30

チャールズ英国王の肖像画に動物愛護団体がいたずら アニメキャラの顔貼りつける

英バッキンガム宮殿で2024年5月14日、戴冠後初の公式肖像画の披露に立ち会う国王チャールズ3世と英画家ジョナサン・ヨー(Aaron Chown-WPA Pool/Getty Images)

英国の動物愛護団体が11日、国王チャールズ3世の戴冠後初の公式肖像画に人気アニメ『ウォレスとグルミット』の主人公の顔を貼りつけるいたずらを行い、その様子を撮影した動画を公開した。英肖像画家ジョナサン・ヨーが手掛けた肖像画は5月にお披露目されたばかりで、ロンドンのフィリップ・モールド・ギャラリーで一般公開中だった。

動物愛護団体アニマル・ライジングは11日午後、チャールズ国王の肖像画に「模様替えを施した」と主張。肖像画の国王の顔を覆うように英国のストップモーション・アニメーション作品『ウォレスとグルミット』の主人公ウォレスの顔を貼り、さらに「チーズはダメだよ、グルミット。RSPCA農場のこの残酷さを見て!」と書かれたセリフの吹き出しを貼りつける様子を撮影した動画をSNSで共有した。

アニマル・ライジングは英王室に対し、アニマルウェルフェア認証を行っている英国の民間慈善団体「王立動物虐待防止協会(RSPCA)」への支援を中止するよう求めている。RSPCAは、英国内の農場を訪問し、動物福祉基準を満たした水産・家畜・乳製品を「RSPCA Assured(RSPCA認証製品)」として認証している。

アニマル・ライジングは先ごろ、RSPCA認証を受けている農場45カ所をメンバーが訪問したところ「すべての農場で工場畜産と深刻な動物虐待が行われている」のを確認したとする報告書を発表していた。

フォーブスはRSPCAに取材を申し込んだが、すぐには回答を得られなかった。

今回の抗議行動を行った活動家のダニエル・ジュニパーは声明で「チャールズ国王は、英国の農場において動物が苦しんでいることを非常に気に掛けているとはっきり口にしている。今こそ国王が立ち上がり、RSPCAに対して認証制度を廃止して畜産の真実を明かすよう呼びかける絶好の機会だ」と述べた。

標的となった肖像画は、昨年即位したチャールズ国王にとって初となる公式肖像画だが、赤一色を基調とした独特な色彩が非常に印象的で、公開されるや否やさまざまな反響を呼んだ。描かれているのはウェールズ近衛連隊(ウェルシュガーズ)の赤い礼服を着用した国王なのだが、背景も同色で統一され、肖像画の中で赤く染まっていないのは国王の顔と手だけだ。これには「悪夢のよう」「ミームのネタにしかならない」との批評が殺到。一方、「なかなかエッジが効いている」「モダンでドラマチックで、感情に訴えるものがある」など好意的な意見もある。

高さ2.4メートルの肖像画は、14日までフィリップ・モールド・ギャラリーで一般公開された後、8月末からロンドンの毛織物商組合のギルドホールであるドレイパーズ・ホールで再展示される予定だ。

チャールズ国王はかねて個人的に動物愛護団体を支援しており、先月、RSPCA認証の王室パトロンとなった。RSPCAはビクトリア女王から「王立」の称号を授与され、故エリザベス女王も70年にわたり王室パトロンを務めていた。

王室パトロンには特別な責任はなく、金銭援助を伴うとも限らないが、その団体の地位向上や活動に対する理解促進に貢献する。国王は他にも、犬の愛護団体ドッグス・トラストや野生生物保護団体ワイルドライフ・トラストなどの王室パトロンを務めている。カミラ王妃も動物福祉に熱心で、馬、ロバ、犬、ゾウ、ミツバチの保護に尽力してきた経歴を持ち、動物愛護施設バタシー・ドッグズ&キャッツ・ホームをはじめ数々の愛護団体の王室パトロンとなっている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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