今回の画像は、ジュノーが3月7日の近接フライバイ観測時に撮影したものだ。画像には、木星の最も有名な特徴の1つである大赤斑が写っている。大赤斑は長期間持続している巨大な嵐で、赤い色をしていることで知られている。画像のうちの1枚では、大赤斑の上にアマルテアが黒い点として見えている。アマルテアは半径が約84kmで、ジャガイモのような形をしている。木星に近い軌道を公転しており、公転周期は約0.5地球日(12時間)だ。
木星の荒れ狂う大気が、画像全体に写っている。市民科学者のジェラルド・アイヒシュテッドが、ジュノーのオリジナル画像の色調と鮮明度を補正処理した。NASAは、ジュノーの生画像データを一般の人々がダウンロードできるように提供している。NASAは「市民科学者を招いて、木星とその衛星の神秘と美しさを引き出し続けるための新たな画像処理方法を模索している」とジュノーに搭載された200万画素のカメラJunoCamのサイトに記している。
アマルテアは小さいが、特異な性質を持っている。赤色を帯びている理由の1つは、衛星イオからの硫黄による汚染である可能性がある。さらに、赤いだけでなく、太陽から受ける熱を上回る量の熱を放射している。この奇妙な熱の発生原因は、謎のままだ。「木星の強力な磁場の内側を公転しているため、衛星の核で発生する誘導電流が原因となっている可能性がある」とNASAは指摘している。「あるいは、木星の重力によって生じる潮汐応力に起因する熱かもしれない」