宮崎大学大学院農学工学総合研究科の博士課程に在籍中の上野賢氏は、学部生時代に魚類研究で生産現場を訪れるうちに生産者の熱意や課題を感じ、サクラマス養殖の事業化を決意。2019年に宮崎大学発ベンチャー第1号となるスタートアップ、Smolt(スモルト)を創業した。担当教員の内田勝久教授らとともに、宮崎県の温かい海でも育つサクラマスの品種開発を行っている。
![Smolt代表取締役CEO、上野賢氏。](https://images.forbesjapan.com/media/article/71081/images/editor/db9ee02e525f1c3d40917de362bb44a3fcc3ae6e.jpg?w=1000)
またこの方法には、寒い時期に養殖を行わないブリやカンパチの空いた生け簀を有効活用できるというメリットもある。これまでに、高温に強い品種と成長の早い品種を6世代掛け合わせて、20度前後の環境で育つサクラマスを開発し、その稚魚と生産技術のパッケージを販売。すでに、全国数カ所に導入されている。
![](https://images.forbesjapan.com/media/article/71081/images/editor/870e237fd21512d223630f412c5ff5f80d9c9b94.jpg?w=1000)
淡水から海、そしてまた淡水に戻る循環型養殖は、天然のサクラマスの「生き様をリスペクト」したものだとSmoltは言う。これを同社は「本桜鱒」というブランドで出荷している。
Smoltの循環型養殖は、科学技術とイノベーションで社会課題を解決する日本の取り組みを表彰する科学技術振興機構の「STI fot SDGs」で「科学技術振興機構理事長賞」を受賞した。現在は、22度以上という、サクラマスにとっては超高温となる環境でも養殖できる品種を開発し、全国的なサーモンの循環型養殖の社会実装を目指すと同時に、サーモン養殖に課題をもつ事業者やサーモン養殖の新規参入を考えている事業者を対象とした事業連携パートナーを募集している。
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