2024.05.20 09:30

仕事中とみせかけ旅行、会社に内緒の「ハッシュトリップ」 リモート勤務で流行

「ハッシュケーション」「ハッシュトリップ」の定義

履歴書作成サイトのResumeBuilder.comによると、ハッシュトリップとは「リモート勤務の従業員が雇用主に内緒で休暇先から仕事をすること」だとされる。

同サイトは昨夏、Z世代のリモートワーカーとハイブリッドワーカー計918人を対象に調査を行った。44%がハッシュトリップをしたことがあると回答し、約65%がバーチャル背景を利用して雇用主を欺いたと答えた。ハッシュトリップ経験者の3分の1が1日平均2時間しか働いていなかったが、上司に旅行していた事実は発覚せず、旅行後に職場でまずい立場に立たされることもなかった。

旅行業界もこの新しい需要に目をつけており、フロリダのACホテル・クリアウォータービーチの「ハッシュトリップ・ヘイブン」パッケージのように、巧妙なマーケティング戦略をひねり出したホテルもある。この宿泊プランには、専用のコワーキングスペース、軽食コンシェルジュ、「在宅勤務中」と書かれたドアカード、バーチャル会議中のプライバシーを守るウェブカメラカバーなどのアメニティ・特典が付いている。

ハッシュトリップは燃え尽き症候群の症状か

ビジネス講師で、「魂の長期休暇」を意味する「Soulbattical」という概念を提唱するシェリー・パクストンは、創造的でインスピレーションにあふれ、活力に満ちた仕事をするためには、休暇が必要不可欠だと考えている。休暇は仕事を頑張った見返りではないのだ。しかし、忙しさを名誉とみなして称賛する文化の中では、休暇の意義が正しく理解されることはまれで、取得することが恥とされがちなのが問題だとパクストンは指摘する。

「人間である以上、スピードアップするためには一旦スローダウンする必要がある。だからリモートワークについてもっと話し合うべきだ。リモートワークは人を若返らせる」「頑張り続けるよりも休息を選ぶ人が増えるほど、労働力も生産性も健全性が高まる」とパクストン。

一方で、労働者のウェルビーイング(心身の健康と幸福)や企業全体の健全な従業員エンゲージメントを支援するには何が必要か、透明性のある対話を行うことも大切だと主張する。

「ハッシュケーションの流行は、休暇の取得を推奨されていないと感じることへの反動のように思われる」「燃え尽き症候群、離脱、メンタルヘルス危機(に陥る労働者)が増え続ける中、私たちが間違った方向に進んでいることを意味しているのではないか」とパクストンは危惧を示した。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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