アナリストたちは、一般大衆の購入者が不足しているためにEVの普及が実際に進まないことを懸念している。今のところ、EVの購入者は環境を重要視するアーリーアダプター)がほとんどを占めている。また、昨年末にはEVの欠点に関する悪い報道が相次いだことも、普及促進の妨げとなった。特に、現実的な使用では航続距離(一度の充電で走行可能な距離)がメーカーの宣伝より大幅に短かったり、そもそも数が少ない公共充電設備が問題が多くて当てにならないことに不満を抱くEVオーナーの声を伝える報道は、多くの人々をEVの購入に消極的にさせた。
ハイブリッドが脚光を浴びる
しかし、同期間にEVより安価なハイブリッド車の販売は急激に増加し始めた。燃料費の節約や二酸化炭素排出削減に関心があるものの、はるかに高価なEVに乗り換えるほどではないと考える人々が、ハイブリッド車を購入しているのだ。トヨタは、経営陣がEVに全面的に賭けようとせず、大部分がハイブリッドに固執していると批判されてきたが、同社の電動化車両(1台のEVを含む)の販売台数はこの第1四半期に36%も増加し、非常に好調だった。その上を行くのがフォードで、同社のハイブリッド車の販売は42%増加した。その中には小型ピックアップトラック「マーベリック」やフルサイズピックアップ「F-150」のハイブリッドモデルが含まれる。
2024年に米国で販売されている従来型のガソリン/電気のハイブリッド車で、最も燃費がよいと推定される車種は、やはりトヨタの「プリウス」である。その最も効率に優れる仕様の燃費は、米国環境保護庁(EPA)発表の数値で、市街地57mpg(約24.2km/L)、高速道路56mpg(約23.8km/L)となっている。EPAは、2024年型プリウスで年間1万5000マイル(約2万4000km)の距離を走行すると、燃料費は平均900ドル(約13万6000円)になると見積もっている。平均的な自動車所有者は、プリウスに乗り換えれば、すべての新車平均と比較して、5年間で4500ドル(約68万円)も節約できることになる。
ハイブリッド車の仕組み
よく知らない人のために説明すると、ハイブリッド車は従来型のガソリンエンジン(欧州車の中にはディーゼルエンジンを使ったものもある)を主体的な動力源とし、これに1個または複数の電気モーターを組み合わせ、必要に応じてエンジンをモーターが補助することで、加速や燃費を最大化するという仕組みだ。ハイブリッド車の駆動用バッテリーは自己充電式で、アクセルペダルから足を離した減速時や降坂時に失われていたエネルギーを回生してバッテリーに蓄える。それ以外にエンジンで発電機を回してバッテリーを充電する機能を持つ車種もある。