2024.01.29

海外駐在員にとってストレスの少ない欧州の国や都市は?

駐在員にとって最もストレスの少ない国に選ばれたポルトガル(Getty Images)

海外移住は人生の中で最も刺激的で実りのある一歩になることもあるが、同時に数多くの不安も付きまとう。欧州への移住を夢見ている人は、どの国や都市が一番自分に合うか悩んでいるかもしれない。

そこで、海外駐在員向け保険を手がけるウィリアム・ラッセルが行った調査が役に立つかもしれない。この調査は街の清潔さや緑地の質のほか、LGBTQなど性的少数者に対する安全性といった要素を考慮し、ストレスの観点から世界の国や都市を格付けしたもの。昨年末に行われた最新の調査で最もストレスが少ないとされた欧州の国と都市を紹介しよう。

ウィーンは駐在員にとって最もストレスの少ない都市

ウィリアム・ラッセルの調査によると、オーストリアの首都ウィーンは前年の2位から上昇し、世界で最もストレスの少ない都市となった。同市では、1日6.50ドル(約960円)以下で生活している人は2022年時点ですでにわずか1%だったが、昨年の最新の調査でゼロになったことが示された。貧困率は皆無に等しく、ウィーンの物価は他の主要都市と比べても高くはない。単身者の場合、家賃を除いた1カ月の生活費は約1070ドル(約15万9000円)だ。とはいえ、前年比で27%上昇している。

ウィーンのLGBTQ+の安全性評価は前年から9ポイント上昇し、309点と高評価を得た。街の清潔度も83.75点と、ランキング中2番目に高かった。

ストレスの少ない都市は欧州に集中

世界で最もストレスの少ない都市ランキングでは、ウィーンをはじめ、欧州の都市が軒並み上位を占めた。第2位に選ばれたドイツ南部バイエルン州の州都ミュンヘンは貧困率が極めて低く、1日6.50ドル以下で生活している住民はいない。家賃を除いたミュンヘンの生活費は、単身者で月額約1150ドル(約17万円)で、前年の955ドル(約14万2000円)から上昇した。

同市は緑地や公園の質で84.96点と評価され世界第2位となったが、前年の1位からは後退している。街の清潔度では第4位だった。

今回新たにランキング入りした英北部スコットランドの首都エジンバラは、ストレスの少ない都市として世界第3位に浮上。LGBTQ+の安全性では342点と高評価を得ている。緑地の質でも第5位と高く評価された。

世界で最もストレスの少ない国はポルトガル

世界で最もストレスの少ない国に選ばれたのは、ポルトガルだ。LGBTQ+の安全性で、同国は358点と高い評価を得た。家賃を除いた生活費は平均685ドル(約10万2000円)で、住民は金銭面でもストレスを抱えていないようだ。

北欧諸国は世界で最もストレスの少ない国に挙げられることが多いが、スウェーデンも例外ではなく、世界第2位の座を維持している。同国は大気汚染の少ない国として世界上位5位に入っており、LGBTQ+の安全性でも経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で第2位となっている。同国では2005年から同性カップルが体外受精を平等に受けられるようになり、同性婚は2009年に合法化されている。

大気汚染とストレスの関係は長年にわたって研究されており、汚染率が高いほどうつ病のリスクが高まるなど、身体的にも精神的にも健康に害を及ぼすとされている。それゆえ、エストニアが前年の第7位から第3位に浮上したことは驚きではない。同国の大気の質は第2位で、清潔度でも世界の上位に位置している。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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