AI

2023.12.31 09:00

「生成AI」が主役に躍り出た2023年 残された法的、経済的な課題

このAIゴールドラッシュは、インターネットを閲覧しソフトウェアプログラムを実行できるAIアシスタントを開発しているAdeptや、テイラー・スウィフトやイーロン・マスクなどのAIチャットボットキャラクターを作成して2000万人以上がチャットを行うCharacter AIなど、複数のユニコーン企業を生み出した。電子メールの作成や長い文書の要約といった企業に特化した作業の自動化を支援する、Typeface、Writer、Jasperなどの生成AIのスタートアップにも資金が流入している。しかし、AIツールの開発と立ち上げの競争の中で、グーグルは足元をすくわれ、キャッチアップに追われている。グーグルは自身の会話型AIチャットボットBardを立ち上げ、年末には独自のAIモデルGeminiを発表した。

この1年で、AIは事実上、生活のあらゆる面に浸透した。教師は、生徒がChatGPTを使って課題のカンニングをするのではないかと心配し、ツールは米国のほとんどの学区で禁止された。一方、医師や病院は、メモ取りや雑用だけでなく、患者の診断にも生成AIツールを使い始めた。一部の政治家候補者はAIを宣伝活動に活用し、有権者との対話を始めたが、生成AIツールを使用して政治的な対立者のディープフェイクを作成した候補者もいた。

AIが生成したコンテンツがインターネット上に氾濫し、広く利用可能なAIツールが有害なコンテンツの作成に悪用されることへの懸念が高まった。たとえば、生成AIソフトウェアを使って作られたフェイクニュースはTikTokやYouTubeで流行し、AIが生成した非合意のポルノはRedditや Etsyで拡散した。低品質のAI生成コンテンツがウェブに広がる中、ChatGPTはフリーランサーの世界に混乱を引き起こし、人間よりも速く安価にコンテンツを生成できる新しいAIソフトウェアに仕事を奪われるのではないかと、多くの人が恐れた。

企業はまた、AIチャットボットを使って従業員の選考、面接、採用を行っているが、そうした技術に組み込まれた偏見やリスクについての警告が発せられている。ChatGPTがマルウェアのコードを書くのに便利であることに気づいたサイバー犯罪者もいれば、ソーシャルメディアの監視ツールとして使用する者も出てきた。これらの問題に対処するため、マイクロソフトやグーグルのようなテクノロジー大手は、自社のAIモデルをわざと「ハッキング」してより安全にするミッションを担ったレッドチームを雇用した。
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翻訳=酒匂寛

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