NASAは最先端の通信実験で、小惑星探査機Psyche(サイキ)からレーザーを使用して3100万km離れた地球に動画を送った。その動画の主役は? もちろんネコだ。テイターズ(Taters)という名前の茶トラの子猫が、赤いレーザーポインターを追いかける様子は、このデモンストレーションの中心がレーザー技術であることと一致している。
テイターズは、優れた動画ネコの条件をすべて満たしている。ふわふわして、愛らしく、いたずら好きだ。しかしテイターズは宇宙通信の大きな一歩の象徴でもある。テイターズが映っている超高解像度の動画は、12月11日に旅立ち、地球と月の間の80倍もの距離を移動した。これは将来、この技術を使うと、人間の宇宙飛行士が遠い火星でミッションに従事している時にも、連絡がとれる可能性があることを示している。
深宇宙光通信(DSOC)の実験は、サイキミッションの一環だ。探査機サイキは10月に打ち上げられ、16 Psyche(プシケまたはサイキ)と呼ばれる金属に富む小惑星を調査するために、火星と木星の間にある小惑星帯に向かっている。その長い旅路は、この新しい通信システムをテストする絶好の機会だ。
そのネコ動画は15秒間続く。重ね合わせられたグラフィックスには、サイキの軌道経路、テイターズの情報、レーザーに関する技術データ、そして「これはテストです」という文字が表示されている。動画を送信した装置はフライトレーザー・トランシーバーと呼ばれるものだ。動画は101秒かけて地球に届き、カリフォルニア州のヘール望遠鏡で受信された後、ダウンロードされてNASAのジェット推進研究所(JPL)に送られ、リアルタイムで再生された。
NASAが最初にDSOCをテストしたのは11月で、1600万km近い宇宙を横断してテストデータを送った。今回、より複雑なネコ動画の実験も成功した。テイターズの映像は、実際に地球で使われているほとんどのブロードバンド接続よりも速いスピードで宇宙を渡った。