日本は、2022年の全発電電力量において、再生可能エネルギーの発電量が占める割合は22.7%と、他の先進国に比べて普及が進んでいるとは言えない状況である。
今後、日本が再生可能エネルギーの割合を高めていく中で鍵となる、風力発電の事例と特徴を解説していく。
日本最大の風力発電所
実は日本には、風力発電だけでエネルギー自給率800%を実現している地域がある。
海沿いの農地に建設された国内最大の風力発電所「ウィンドファームつがる」がある、青森県つがる市だ。
この地域は1年を通して強い風が吹き抜けるため風力発電に適しており、風車38基で一般家庭約9万世帯分にあたる12万1600キロワットを出力するようだ。
「ウィンドファームつがる」によるCO2削減効果は、年間約18万トンにもなると見込まれている。
適した場所に設置できれば大量に発電できることがわかるが、具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか。詳しく見ていこう。
風力発電のメリット・デメリット
風力発電のメリットは主に3つある。1つ目は、再生可能エネルギーの中でも費用対効果が高いことである。再生可能エネルギーの中で風力発電は2番目に1kWの発電にかかる費用が安い。
2つ目は、洋上でも発電ができることだ。風力発電の施設を洋上に設置することで常に強い風が吹き、陸上よりも発電できるのだ。日本は海に囲まれているため、海の上の風力発電には期待できる。
3つ目は、昼夜を問わずに発電できることだ。日本において最も発電割合の高い太陽光発電は日中しか発電できないというデメリットがある。しかし、風力発電であれば、時間帯で発電量が大きく変化しないのが魅力である。
一方で、さまざまなデメリットもある。
まず、風向きや風速によって発電量が変化してしまうことだ。時間帯で発電量は変化しないが、風量によって発電量が変わってしまう。風が強すぎると故障のリスクも出てきてしまう。
「ウィンドファームつがる」のように、安定した風が吹き抜ける場所に設置することができれば、発電量が安定するだろう。
また、騒音の問題もある。風力発電のブレードが回転するときの騒音は問題になることがある。耳障りに感じやすい低周波音も発生するため、民家の多い場所には設置しにくいというデメリットがある。