米GM、クルーズの自動運転車両「オリジン」の生産を一時停止

ジャパンモビリティショーの期間中に展示された「オリジン」(Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images)

カリフォルニア州の陸運局(DMV)が、自動運転で走行するクルーズのロボタクシーの認可を取り消してから約1カ月が経過した11月6日、同社のカイル・ヴォクトCEOは、社内のミーティングで、車両の安全性に対する懸念に同社がどのように対処する予定であるかを説明した。

その最初の発表の1つが、クルーズの親会社であるゼネラル・モーターズ(GM)が近い将来に増産を計画していたOrigin(オリジン)と呼ばれる完全自動運転のバンの生産を一時停止することだった。

フォーブスが入手した音声記録によると、ヴォクトはロボタクシーの運行を停止するという最近の決定に触れつつ「当社はGMとともにオリジンの生産を一時停止するという決定を下した」と社員らに語っている。

オリジンの生産の停止は、クルーズにとって大きな後退だ。同社は、10月初旬に別の車両にひき逃げされた女性をひいて下敷きにする事故を起こし、規制当局から非難を浴びていた。さらに、ニュースサイトThe Interceptの6日の記事によれば、クルーズのソフトウェアには「子どもの認識」に問題があり、子どもを危険にさらしていたという。

オリジンは完全に自動運転で走行する車両で、ステアリングやペダルが装備されていない。

ヴォクトは、2022年1月のフォーブスの取材に対し、2023年から同社のロボタクシーサービスにオリジンを追加し、ラッシュアワーのピーク時には自動運転タクシーとして用い、需要の低下時には食料品や食品のデリバリーを行うなど「1日を通して活用することで収益を最大化できると考えている」と述べていた。

ヴォクトはまた、9月の投資家会議で、同社が間もなくオリジンの量産を開始すると述べていた。そして10月24日には、GMのメアリー・バーラCEOが投資家に対し、この車両が2027年に東京の路上を走ることになると語っていた。

「クルーズは、安全性を常に最優先にしつつ、自動運転テクノロジーが社会に提供できるものの限界を押し広げ続けている」と、彼女は決算説明会で語った。

ヴォクトは6日の社内会議の中で、同社がすでに何百台ものオリジンを生産したと述べ「近いうちにオペレーションの再開の準備が整えば、十分すぎるほどの台数が確保できている」と語った。「この休止期間中に、我々は時間を賢く使うつもりだ」と彼は付け加え、パートナーや規制当局と活発に議論していると説明した。

ヴォクトはさらに、会議の内容がメディアにリークされることに懸念を示し「グループとの信頼関係を再構築したいのであれば、彼らが報道からではなく、まず私たちから正しい情報を得るようにしなければならない」と述べた。

フォーブスはこの件でGMとクルーズにコメントを求めたが、ただちに返答はなかった。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事