テスラ車で「ハンドルが動かなくなった」との苦情相次ぐ 米当局が調査

テスラの「モデル3」(Grzegorz Czapski / Shutterstock.com)

米運輸省の道路交通安全局(NHTSA)は1日、米電気自動車(EV)大手テスラの2023年式「モデル3」と「モデルY」でハンドル操作ができなくなったとの苦情が相次いだことを受け、調査を開始したことを明らかにした。テスラはこれまでにも、運転支援システムやハンドル、シートベルトに関する問題が当局の調査対象となってきた。

同局が公開した報告書によると、2023年式モデル3・Yのハンドル制御やパワーステアリングが機能しなくなったとの苦情が12件あった。うち5件で操舵が不能になったが、事故につながったのは1件のみだった。ハンドルが動かなくなると同時に、ハンドルを切るのに必要な力を軽減するパワーステアリングが弱まったり無効になったことを示すメッセージが表示された事例も多かったという。

5月7日に寄せられた苦情では、モデル3が走行中に「車のハンドルが動かなくなったような感覚」が生じ、車が道路から外れて木に衝突したと報告されている。別の苦情では、パワーステアリングが機能しなくなり、ハンドル操作に「大きな力」が必要になったとされている。

同局は予備調査により、この問題が過度の安全リスクをもたらすかどうかを判断する予定。その後、本格的な技術分析が実施され、リコールにつながる可能性もある。調査対象となる車両の数は推定28万台。

米国の自動車安全規制当局によるテスラの調査は、ここ3年間で5件目。テスラの運転支援システム「オートパイロット」は、司法省と証券取引委員会(SEC)の調査対象となっているほか、道路交通安全局も2021年8月から調査を行っている。同局は今年2月、同システムが一時停止の標識を無視して通過したり、注意を払わずに交差点を走行したりするなどの問題を引き起こす可能性があるとして、一部車両のリコールを命令。テスラはこれを受け、ソフトウエアの変更を実施した。

2020年には、2015~17年式の「モデルS」と「モデルX」の一部について、フロントサスペンションの不具合に関する苦情を受け、同局が調査を開始。さらに、モデルYのハンドルが運転中に脱落したという事例に関する調査も行われている。その数週間後には、モデルXのシートベルトが適切に取り付けられていないとの苦情に関する調査も開始された。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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