【お知らせ】Firefoxでの記事閲覧について

宇宙

2023.10.21 12:00

ISS宇宙食は1日30万円、滞在費は2週間で45億円?

Shutterstock.com

いまや45万ドル(6750万円/1ドル150円換算)を支払えば宇宙旅行ができる時代になった。米国の2社による宇宙観光打ち上げサービスでは、宇宙船はかろうじて宇宙に到達し、放物線を描きながらそのまま地表に落ちてくるが、その間、数分間の無重力体験ができる。

しかし、こうした日帰りツアーではなく、もっと本格的に宇宙を満喫したいのであれば、国際宇宙ステーション(ISS)に宿泊することも可能だ。その場合は1人数十億円の費用がかかるが、過去には延べ20人のビリオネアがプライベートマネーによるISS滞在旅行を実現している。

NASAが公開しているISS宿泊時の費用リスト

アクシオム社のAx-1ミッションにて、ISSにドッキングした宇宙船クルードラゴン(Axiom Space / NASA)

アクシオム社のAx-1ミッションにて、ISSにドッキングした宇宙船クルードラゴン(Axiom Space / NASA)

2023年9月、米国のアクシオム・スペース社(以下、アクシオム社)が、民間人による新たなISS滞在計画「Ax-3」を発表した。この計画では2024年1月までに4名の民間人が最長14日間に渡ってISSに滞在する。

2022年に始まったAxミッションは今回で3回目。搭乗するのはスペースX社の宇宙船クルードラゴンで、そのチャーター機をファルコン9ロケットによってケネディ宇宙センターから打ち上げる。

過去のAxミッションではビリオネアによる宇宙観光旅行も行われたが、今回のAx-3は商業宇宙飛行士のための訓練と位置づけられている。つまり彼らは国家資本で雇われた公務員としてではなく、民間資本による商業クルーとして宇宙飛行士デビューを果たすためにISSへ旅立つ。

同ミッションの費用は公表されていないが、これら民間人をISSに受け入れる際の料金をNASAは2019年から公開しており、ISSへ個人旅行をする際にもこのガイドラインが適用される。以下はその料金表の一部だ(以下、すべて1ドル150円換算)。

・ベースライン
無料
生命維持装置、宇宙船への電源供給、乗組員用PC、テーブル、データダウンリンク(1人1日最大12GB)

・食料
1人1日2000ドル(30万円)
NASAが提供する食事と飲み物(増量、ゴミ廃棄は別途料金)

・供給品
1人1日40~1500ドル(6000~22万5000円)
衣料品、衛生用品、事務用品、寝袋、その他の推定料金(増量、ゴミ廃棄は別途料金)

・積載物・廃棄物
1人1日8万8000~16万4000ドル(1320~2460万円)
ISSでの食料と乗組員の事前準備およびNASA関連の機体の事前準備品の処分の推定料金。

・統合と基本サービス
1ミッション480万ドル(7億2000万円)
NASAの統合、ミッションの計画と実行、有人宇宙飛行通信と追跡ネットワークのサポートおよびNASAが訪問する宇宙船をサポートするための機器提供の推定料金

・ISSクルー人件費
1ミッション520万ドル(7億8000万円)
民間宇宙飛行士の搭乗宇宙船の運用、後方支援および軌道上でのサポートするためのISS乗組員の基本コスト

上記料金は、ISSで人員を受け入れるNASAに対して支払われるギャラでしかない。実際にISSに渡航するには、これに宇宙船クルードラゴンのチャーター、ファルコン9による打ち上げ、その管制、海上でのリカバリーのほか、渡航者の訓練プログラムに対する料金、そしてアクシオム社に対するコミッションなどがプラスオンされることになる。
次ページ > ISS宿泊料金は、2週間で45億円?

編集=安井克至

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事