宇宙映画がフィクションでなくなる

しかし、アクシオム社のツアーが遅延している間に、ロシアの宇宙船ソユーズMS-20が打ち上げられた。そこに搭乗していたのはロシアの人気女優ユリア・ベレシルドと、映画監督のクリム・シペンコ氏。彼らがISS滞在中に撮影されたフィルムは『The Challenge』というタイトルで、2023年4月にロシアとその友好国で公開された。
ISSでは過去にドキュメンタリー映画が撮影されたことはあるが、商業映画として一般公開されたのはこれが史上初の作品である。結果、トム・クルーズ氏のISSツアーはキャンセルされている。
そして2023年12月29日には、前澤友作氏のISS旅行の様子を記録したドキュメンタリー映画が公開される。タイトルは「僕が宇宙に行った理由」、監督は彼とISS旅行をともにした平野陽三氏。その特報映像は前澤氏の公式YouTubeチャンネルで公開されている。

そして、その2機目の座席を、史上はじめてISSへの自費個人旅行を果たしたデニス・チトー氏も購入済み。パートナーである章子さんとともに月へ旅立つ予定だ。
ISSは2031年1月に南太平洋に廃棄される予定だが、それと並行して米国では現在、その後継機として4機の宇宙ステーションの製造、または基礎設計を進めている。それら民間ステーションの運用が始まれば、地球周回軌道への定期便が生まれ、宇宙旅行がより身近なものになるかもしれない。さらにスターシップが実用化されれば、イーロン・マスク氏によって月旅行の定期便も就航するだろう。