宇宙

2023.10.21 12:00

ISS宇宙食は1日30万円、滞在費は2週間で45億円?

宇宙映画がフィクションでなくなる

史上初のISSロケを敢行した商業映画「ザ・チャレンジ」(Central Partnership)

史上初のISSロケを敢行した商業映画「ザ・チャレンジ」(Central Partnership)

アクシオム社の2回目のミッションAx-2には、実はトム・クルーズ氏と映画監督の2名が搭乗する予定だった。『ミッション:インポッシブル』の最新作のために、史上初の宇宙ロケをISSで行うためだ。

しかし、アクシオム社のツアーが遅延している間に、ロシアの宇宙船ソユーズMS-20が打ち上げられた。そこに搭乗していたのはロシアの人気女優ユリア・ベレシルドと、映画監督のクリム・シペンコ氏。彼らがISS滞在中に撮影されたフィルムは『The Challenge』というタイトルで、2023年4月にロシアとその友好国で公開された。

ISSでは過去にドキュメンタリー映画が撮影されたことはあるが、商業映画として一般公開されたのはこれが史上初の作品である。結果、トム・クルーズ氏のISSツアーはキャンセルされている。

そして2023年12月29日には、前澤友作氏のISS旅行の様子を記録したドキュメンタリー映画が公開される。タイトルは「僕が宇宙に行った理由」、監督は彼とISS旅行をともにした平野陽三氏。その特報映像は前澤氏の公式YouTubeチャンネルで公開されている。

前澤友作氏によるISS滞在旅行のドキュメンタリー映画「僕が宇宙に行った理由」(Ⓒ2023「僕が宇宙に行った理由」製作委員会)

前澤友作氏によるISS滞在旅行のドキュメンタリー映画「僕が宇宙に行った理由」(Ⓒ2023「僕が宇宙に行った理由」製作委員会)

前澤氏はISS旅行に先立って、月旅行の予約も入れている。スペースX社が開発中の史上最大の打ち上げシステム「スペースシップ」の全9席を買い取った前澤氏は、一般公募したアーティスト8名とともに史上初の民間人による月周回旅行に赴く予定だ。当初の予定では、その打ち上げは2023年が予定されていたが、その計画は少々遅延している。

そして、その2機目の座席を、史上はじめてISSへの自費個人旅行を果たしたデニス・チトー氏も購入済み。パートナーである章子さんとともに月へ旅立つ予定だ。

ISSは2031年1月に南太平洋に廃棄される予定だが、それと並行して米国では現在、その後継機として4機の宇宙ステーションの製造、または基礎設計を進めている。それら民間ステーションの運用が始まれば、地球周回軌道への定期便が生まれ、宇宙旅行がより身近なものになるかもしれない。さらにスターシップが実用化されれば、イーロン・マスク氏によって月旅行の定期便も就航するだろう。

編集=安井克至

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