創業者で最高経営責任者(CEO)のラケル・ウルタスン(Raquel Urtasun)はフォーブスに対し、Waabiの人工知能(AI)ソフトウェアとセンサーを搭載した大型トラックが今月、Uber Freightを通じて予約された荷物の運搬を開始したと語った。トラックには今のところ人間のバックアップドライバーがいるが、いずれは完全な自律走行モードに移行する予定という。
トロントに本社を置く同社は、公道におけるテストの前に、高度なシミュレーションでバーチャルトラックを走らせ、2年をかけてシステムを完成させた。ウルタスンは、今回のプロジェクトに参加するトラックの台数や、そこから同社が得る収益については明言を避けた。
Waabiのプログラムの開始は、自動運転テクノロジーが困難に直面する時期と重なった。サンフランシスコでGM傘下のクルーズとアルファベットのウェイモが試験運行中のロボタクシーは、緊急車両を妨害するなどのトラブルを起こしている。
また、ロボットトラック輸送は参入しやすい市場だと考えられていたが、独自の問題も抱えている。この分野のスタートアップのEmbarkは今年初めに閉鎖され、運転支援ソフトのメーカーであるApplied Intuitionに買収された。
ロボットトラック分野で初期に頭角を現したTuSimpleは、経営陣の混乱で米国事業の売却を検討している。長年自動運転をリードしてきたウェイモでさえ、最近は配車サービスに集中するため、トラック輸送プログラムの一時停止を決定した。
そのため、WaabiのUber Freightとの提携は、ソフトバンクの自動運転トラック運送の新興企業Stack AIへの最近の10億ドル(約1480億円)の出資とともに、このセグメントにとって待望の朗報となっている。(Stack AIは、フォードとフォルクスワーゲンが2022年に閉鎖を決定したArgo AIの創業者たちによって設立された)
Waabiを立ち上げる前にウーバーの自動運転部門に所属していたコンピュータ科学者のウルタスンは、2021年に同社が「ステルス」状態(自社のサービスや製品を公表せずに事業を進めること)から脱した際に、8350万ドルの資金調達を発表していた。
(forbes.com 原文)