ボーヌ運輸相はまた、仏政府はこの構想が欧州連合(EU)全域で導入されることを望んでいるとも明言した。
フランスの環境保護活動家にとっては、夏休み明け早々に幸先の良いニュースといえる。
仏政府は今夏、次年度予算案に鉄道インフラへの1億1000万ドル(約162億6000万円)相当の投資を盛り込み、その原資に航空税の引き上げによる税収増を充てると発表した。パリ発ベルリン行きの夜行列車を、オーストリア連邦鉄道が12月から週3便、最低運賃わずか29ドル(約4300円)相当で運行再開する計画もある。
仏政府はすでに、鉄道で2時間半以内に移動可能な短距離区間の航空便を法律で禁止。都市間鉄道を含む全公共交通機関を月額49ユーロ(約7800円)で乗り放題にするという、ドイツで大成功を収めた政策の模倣版の導入も検討している。
フランス上空は地中海へ向かう自家用ジェット機の航路となっているが、ボーヌ運輸相によればEUは自家用ジェット機への課税強化を検討している。さらにEUでは二酸化炭素排出量の実質削減目標を達成するため、域内共通の航空燃料税についても協議中だ。
EUは新規則の導入に時間がかかることで有名だが(全加盟国の承認が条件であり、場合によってはシェンゲン協定加盟国の承認も必要となる)、航空課税の方針は支持されている。フランスが短距離便の禁止を打ち出した際、鉄道部門への実質的な国家支援に当たり違法だとして多くの航空会社が欧州委員会に調査を求めたが、気候危機はこのような制度が妥当とみなされる例外的状況に該当するとの判断が下っている。
フランスの短距離便禁止は、同様の施策を検討する他の欧州諸国にとって試金石になるとみられている。EUは近年、鉄道旅行を強く推進しており、欧州各地で新規路線を提供する鉄道分野のスタートアップ企業がいくつも生まれている。
環境保護活動家らは、頻繁に飛行機を利用する人々(frequent fliers)が、旅行者全体では少数派ながら二酸化炭素排出量の増加に誰よりも寄与しているとして、この層を減らす努力がもっと必要だと訴えている。気候変動対策を求める団体Possibleは、フランスでは人口のわずか2%が全航空便の半分を利用している計算になると指摘する。英国では人口の15%が全航空便の70%を、オランダでは人口の8%が全航空便の42%を利用しているという。環境保護活動家は、この問題を簡単に解決できるのは「frequent flyer tax(高頻度搭乗税)」であり、一部の人による航空便の利用頻度を抑えつつ、たまに利用する旅客には影響を及ぼさないと主張している。
国際環境NGOグリーンピースが最近行った欧州各地の航空・鉄道運賃に関する調査では、鉄道利用の料金は飛行機を利用した場合の2~4倍かかることがわかった。欧州内の都市を結ぶ112ルートで料金を調べたところ、うち7割(79路線)で航空便のほうが全体として安価だった。
(forbes.com 原文)