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2023.08.30 15:00

米国で広がるプライバシーとAIをめぐる恐怖 8割が犯罪被害を懸念

Gearstd / Shutterstock.com

人工知能(AI)はいつの日か世界を征服するのだろうか? ChatGPTを使うと、個人情報が漏洩するのか? 中国やロシアが個人情報を入手して悪用しないだろうか──?

そのようなさまざまな懸念が渦巻く中、米国人はデータやプライバシー、AIの急速な進化に警戒心を高めていることが、最新の調査結果から明らかになった。さまざまな企業のデータベースから自分の個人情報を削除するアプリを提供している米企業PrivacyHawkは、市場調査会社プロペラ・インサイツ(Propeller Insights)に委託し、米国人1002人を対象にAIとプライバシーに関するアンケートを実施。その結果をまとめたレポートを公表した。まずは、調査結果の一部を紹介しよう。

・92%が、国家によるプライバシー保護規制を望んでいる
・66%が、この1年でプライバシーに関する脅威が悪化したと感じている
・64.4%が、自分のデータが詐欺に使われたと回答した
・80%が、自分の個人データがAIモデルの訓練に使われていることを懸念している
・48%が、AIによって悪影響を受けると考えている
・72%が、将来自分の個人データが強力なAIシステムに使用されることを懸念している
・77%が、自分の声や顔がディープフェイクを使った詐欺に使われることを恐れている
・80%が、AIによって犯罪者やハッカー集団が自分の個人情報を犯罪に用いる可能性が高まったと回答した
・70%が、他国がAIを情報戦に用いることを懸念している
・57%が、AIが人間に取って代わることを恐れている
・51%が、企業によるデータの保管を信用していない

PrivacyHawkのアーロン・メンデス最高経営責任者(CEO)は「人々はプライバシーを求めている。銀行のような信頼できる機関がデータを保護することを求めており、国家によるプライバシー保護規制が議会で可決されることを望んでいる。また、個人情報がAIによって悪用されることを懸念している」と話す。

レポートによると、個人情報のリスクを懸念していない米国人はわずか5.7%だった。テクノロジーに詳しくない人の多くがAIや、企業が個人データをどのように使用するかを理解しておらず、AIとプライバシーのリスクを必要以上に恐れている可能性がある。その一方で、世界で最もテクノロジーに精通している人々でさえ懸念を抱いているのも事実だ。

この1年で、AI開発は急速に進歩した。問題の核心は、人々がAIが及ぼす影響について十分理解しないまま、技術が急速に進歩していることだろう。その良い例が、新たな連邦プライバシー法案の動向だ。これまで、米国ではプライバシーに関する規制は各州に委ねられてきた。州レベルでのプライバシー規制には、以下のものが含まれる。

・カリフォルニア州プライバシー権法(CPRA)
・コロラド州プライバシー法
・コネティカット州データプライバシー法
・ユタ州消費者プライバシー法
・バージニア州消費者データ保護法

ディキンソン・ライト法律事務所のパートナーで弁護士のフレデリック・D・ベラミーは次のように述べている。「これまで、米国では企業や機関が明確な同意なしに個人情報を収集することを認めてきた一方で、特定の分野における被害を防止・軽減するために、それらの利用を規制してきた。2023年中に米国のみならず全世界においてデータプライバシー法は変化し、今後も変わり続けるだろう」

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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