脳波をコントロールして気分を鎮めたり睡眠の質を高めるガジェットはすでに一般化されている。脳波で機器を操作する技術も古くから研究されているが、デジタル情報を脳波に変換して直接脳に送ることで視覚障害者も物が見えるようになるなど最新の研究も進んでいる。
しかし、いいことがたくさんありそうななかで、顧客の脳波を解析して好みの商品を提示する「ニューロマーケティング」なんて言葉を聞くと、ちょっと背筋が寒くなったりもする。そんな脳波技術の研究開発に現在各国がしのぎを削っているが、脳波技術関連の特許出願件数は、10年ほど前から中国が突出して増えている。
世界最大級の無形資産可視化データベースを構築するアスタミューゼが世界の脳波技術の動向を調査分析したところ、2011年ごろから中国の特許出願件数が急増し、2022年には1800件を超えた。2位のアメリカでも500件程度。日本はドイツと3位を争っているが、どちらも150件をわずかに超えるほどしかない。
また、アスタミューゼが公開しているトータルパテントアセット(引用数や閲覧数などから算定する特許の総合的な競争力)のスコアは、中国が253万7901ポイントと群を抜いている。2位のアメリカは100万9239、日本は4位で40万2282だ。
団体別のトータルパテントアセットは、ドイツのシーメンスが1位で33万8432、2位が東芝の28万1979と健闘しているものの、20位までにランクインしている中国の団体は9つ。1社は上海ユナイテッドイメージングという医療用映像診断装置のメーカーだが、あとはすべて大学だ。そこから層の厚さと将来性が伺える。ちなみに日本は、東芝、キヤノンメディカルシステムズ、日立の3社のみ。
さて今後、どのように脳波技術が発展していくのか楽しみだが、キナ臭い方向に進まないことを祈りたい。
プレスリリース