テクノロジー

2023.08.08 10:30

プログラミング学習の先にある学び、AI時代を生きる子供たちに求められる力

プログラミングの学習はAIを使いこなす素養となる

大阪府高槻市にある関西大学初等部では、若年層からプログラミングに取り組む教育を行なっている。

同校では、学生向けのSwift Playgroundsを2017年から利用している。教鞭をとる堀力斗先生は、まだ英語版しかない当時から、これからを考え注目、小学4年生に教えることにした。堀先生自身もプログラミングの経験はなかったが。

子どもたちといっしょに先生も学ぶSwift Playgroundsを使った授業では、4年生から6年生までの3年間で、子どもたちはコードをかく力を身につけ、アプリのデザインも含め考えていった。Keynoteでゲームを作った生徒もいた。

「学びを進めていくうちに、子どもたちはやりたいことが増えていきます。しかしKeynoteだとデータが大きくなってうまく動かない。そこでコードをかけばデータをもっと小さく、すばやく作れることに子どもたち自身がきづくのです」と堀先生はいう。

関西大学初等部の堀力斗先生と生徒関西大学初等部の堀力斗先生と生徒

そこで養われたプログラミング的な思考は、さまざまな面で生きる。川のゴミひろいという社会課題に取り組んだ際、生徒はまず問題を整理し「呼びかけていく」「役所などに交渉する」といったフローチャートを自然と書き出していたという。これはSwift Playgroundsを使った授業で学んだIFやTHENといった条件分岐の応用だ。試してみた、うまくいかなかった、方法を改善するという方法を現実の課題解決で行なえるようになっていたという。

「プログラミング的思考はいろんなものに繋がっています。Swift Playgroundsはそれを実感できるようにもつくられています。また、『させられている』では身につきづらいこともあります。主体的に試行錯誤を体験させることができました」

現在、OpenAIのChatGPTなど生成AIの登場により、今後、仕事や生活は大きく変わると言われている。プログラミングやプログラミング的思考の必要性も小さくなるのではないかという声もあるが、堀先生はそうではないという。

「Swift PlaygroundsをはじめとしたSTEAM教育で子どもたちは、自分の考えを論理的に展開できるようになります。本当にこれでいいのか? とトライ&エラーを繰り返せるようになることで、吟味して考えられるようになります。AIの便利さも享受できる素養も身に付きますが、それ以上にAIに対してダメだししてより良いものを見つけ、カタチにするできる力を身につけることができるようになるはずです」

また、アップルのスーザン・プレスコット副社長は日本のSwift Playgroundsを使った教育に対して次のようにコメントしている。

「日本には世界で最もクリエイティブなアプリ開発者のコミュニティがあり、アプリ経済も活況を呈しています。大人気のゲーム会社から、小規模な個人の起業家やSwiftでコードを書く有望な未来ある学生まで、日本のアプリ開発者は多くのすばらしいアイディアを世界に向けて発信しています。

コードを学んでいる人や初めてのアプリをデザインしている人、さらにはビジネスでさらなる高みを目指している人にも、日本のアプリ開発者には信じられないようなチャンスがあると見ています」

編集=安井克至

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