娯楽サービス業界の回復鮮明に 牽引役のスポーツとは

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5月、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行後、娯楽サービス業界の復調が鮮明になっている。帝国データバンクは7月11日、企業約1万社を対象にした娯楽サービスDI(※1)の動向調査の結果を発表した。

※1 娯楽サービスDIは、「映画館」「フィットネスクラブ」「遊園地」「パチンコホール」などの景気DIから算出。景気DIは、帝国データバンクが算出する全国企業の景気判断を総合した指標で、50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味する。

娯楽サービスDIは、1回目の緊急事態宣言が出された2020年4月には5.6まで急落。相次ぐ施設の休業やイベント中止を受けて厳しい状態が続き、2022年前半まで全産業の景気DIを下回る動きを見せていた。しかし、同年後半には感染予防策の定着や入場制限緩和などといった環境変化があり、コロナ禍前と同じ40台まで回復。

2023年以降はコロナ禍の沈静化に伴い、屋内でのマスク着用が個人の判断となった3月には、娯楽サービスDIが全産業の景気DI(43.9)を7ポイント上回る50.9まで上昇。新型コロナウイルスが5類に移行した5月には、50.4と回復基調が明らかになった。

中でも突出しているのが、3密を避けられるレジャーとして人気のゴルフDI(※2)だ。2021年3月に60台に達して以降、おおよそ50〜60台の高水準をキープ。娯楽サービス業界回復の牽引役を果たしている。

※2 「ゴルフDI」は「ゴルフ場」と「ゴルフ練習場」の景気DIから算出

一方で、すべての娯楽サービスが順調に回復しているわけではないと、帝国データバンクは指摘する。パチンコホール業界では、大手の資金力についていけないことや、若者の入店客が激減しているという声が聞こえ、市場が縮小を続けている。さらにフィットネス業界では、少子化で会員数が減少。M&Aや資本提携、ファンド出資による再編も行われている。

帝国データバンクは今後、娯楽サービスの需要拡大は期待できるとした上で、「インフレや生活スタイル・志向の多様化により、消費者が娯楽サービス費の投入対象を厳選する傾向は強まっている。そうした中で、企業にはいかに独自性を際立たせ、差別化により選ばれるサービスを提供できるかが問われている」と考察した。


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Forbes JAPAN Web編集部

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