働き方

2023.07.13

「給与の高さ」を最優先条件する20代は意外と少数派

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物価高や人手不足を受け、賃上げ圧力が高まっている。日本商工会議所が5月31日に発表した調査結果によると、2023年度中に賃上げを実施した中小企業の割合は6割超(62.3%)に上り、2022年6月調査(50.9%)を11.4ポイント上回った。中小企業が日本企業に占める割合は、99.7%に上る。そうした中、20代のビジネスパーソンは「昇給」や「給与」をどのように捉えているのか。20代向け転職サイトを運営する学情は、同社の転職サイトや研究機関のサイトを訪れた20代の社会人260名を対象に6月、調査を実施した。

最初に、昇給や待遇改善に取り組む企業に魅力を感じるかを尋ねたところ、「魅力を感じる」と回答した20代が約8割(78.5%)を占める結果に。「どちらかと言えば魅力を感じる」(14.6%)と合わせると、合計で9割強(93.1%)に上った。続いて、給与が高い企業について志望度が上がるかを質問すると、「志望度が上がる」と回答した20代が半数(50.8%)に上り、「どちらかと言えば志望度が上がる」(34.2%)と合計で8割超に。

回答者からは、「生活に関わるので、給与は転職の重要な要素だと思う」「収入が多いほうが、生活水準を高められる」などのコメントが寄せられる一方で、「給与が高いのは魅力的ではあるものの、業務量や残業とのバランス次第だと思う」「給与が高すぎると、自身が給与に見合った経験やスキルを持っているか不安になる」といった意見も聞かれた。

さらに、転職時に年収アップや給与をどの程度重視するかを聞くと、最多の回答は「最優先ではないが重視する」(68.8%)だったが、「最優先で重視する」と答えた20代は16.5%で2割を下回った。回答者からは「仕事内容や働き方、会社の雰囲気、年収などを総合的に見て転職先を決めたい」などという声が上がった。

2011年、大学設置基準の改正に基づき、実質的に大学でのキャリア教育が義務化されるなど、現在の20代の多くが、大学などで何らかのキャリア教育を受けてきている。特に昨今では、キャリアについて自分なりの考えを持ち、自らキャリアを切り拓いていく「キャリアの自律」が求められ、教育に力を入れる教育機関も目立つ。そうした中、仕事選びの軸は多様化しているのが現状だ。

「給与はやはり高い方がいい。でも、より大切なのは会社または組織でどのようなスキルを習得し、どのようなキャリアを描くことができるのか、また、柔軟な働き方ができるのか━━」人手不足で20代の採用難易度が高まる中、人材戦略の成否は、いかに給与プラスアルファの魅力を上手く情報発信できるかにかかっている。


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Forbes JAPAN Web編集部

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