伝統料理の修行を積んだシェフで「Ask Chef Dennis」というサイトを運営する料理ブロガー、デニス・リトリーは食をめぐる変化に注目してきた。
「航空会社の食事はこの10年で大きな変化を遂げた」とリトリーはいう。「地域の食材からその場で注文できるメニューまで、航空会社は機内食をユニークな食体験に変えている」とも指摘する。
その代表的な例がシンガポール航空だ。 同航空では機内食で最先端の取り組みを数多く実施している。例えば、地元の農家から仕入れた野菜や、資源管理といった責任ある漁で獲れた魚を使用するなど、持続可能性を追求したコンセプト「ファーム・トゥー・プレーン」がある。また、飛行時間が1時間半以上のフライトでは、特別クラスのスイート、ファーストクラス、ビジネスクラスの乗客が幅広いメニューから食事を事前注文できる「ブック・ザ・クック」サービスを提供している。リトリーは「シンガポール航空のグルメな食事は地上のレストランに匹敵する」という。
以下、リトリーが選んだ、食事に関して最も大きな進歩を遂げている航空会社をコメントとともに紹介する。「これらの航空会社は単に食事を提供するだけでなく、機内に入った瞬間から始まる、没入感のある食事体験を提供している」とリトリーは話している。
シンガポール航空:ブック・ザ・クックにはさまざまなジャンルの多種多様な料理がそろっている。例えば、ロブスターのテルミドール、牛フィレ肉のグリル、マレーの伝統料理であるナシレマなど。
カタール航空:アラビア料理のメゼからデザートの繊細なお菓子まで、さまざまな選択肢のあるコース料理が期待できる。ビジネスクラスでは好きな時に食事ができるダイン・オン・デ・マンドサービスを提供している。
エミレーツ航空:アラビア料理、日本料理、インド料理など、フライト目的地の特色を取り入れた料理を提供している。
トルコ航空:ビジネスクラス向けのフライング・シェフ・プログラムでは特別に作られた料理を提供し、雲の上のレストランで食事をしているような気分を味わうことができる。トルコのデザートの種類の多さでも知られている。
全日空:前菜、メインディッシュ(寿司や焼き魚など)、デザートで構成される伝統的な和食をはじめ、さまざまなメニューが用意されている。
キャセイパシフィック航空:地元でとれた持続可能な食材を使った食事が多い。アジアと西洋のさまざまな料理を受賞歴のあるワインといっしょに提供する。
エティハド航空:エコノミークラスでもサラダ、メインディッシュ、デザート、チーズを含むコース料理を提供している。メインディッシュは3種類から選ぶことができ、上位クラスではダイン・オン・デ・マンドサービスを提供している。
エバー航空:ロイヤルローレル(ビジネス)クラスの「スターシェフ」の食事で知られ、西洋料理とアジア料理の両方を提供している。ファンのためにハローキティをテーマにしたユニークな食事も用意されている。
カンタス航空:フライト時間にもよるが、軽食から充実した夕食まで、さまざまな食事を提供している。オーストラリアの食材を使った季節のメニューや、オーストラリアやニュージーランドのワインを含む豊富なワインリストが用意されていることが多い。
ルフトハンザドイツ航空:ソーセージとザワークラウトあるいはプレッツェルなどの料理を含め、ドイツの地方名物料理をよく提供している。また、国際色豊かな料理も用意されている。
(forbes.com 原文)