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2023.05.09 09:30

人気アーティストの声を使った「AI楽曲」と著作権の問題

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人気アーティストの声を人工知能(AI)で再現した楽曲がSNSで拡散し、一部の音楽ファンが、それを本物だと信じてしまうケースが報告されている。しかし、専門家からはこのような行為が著作権侵害にあたるとの指摘が上がっている。

AIで再現したドレイクとケンドリック・ラマー、カニエ・ウェストの3人の声が人気アニメの主題歌『不可思議のカルテ』を歌うTikTokの動画は、250万件以上のいいねを集めており、コメント欄には「これが世間で語られないAIの利点だ」と書き込まれている。


また、先月は@ghostwriter と名乗る匿名のクリエイターが、ドレイクとザ・ウィークエンドを声をフィーチャーしたオリジナル曲『Heart on my Sleeve』をAIで作成し、SpotifyやApple Musicなどのプラットフォームで一時的に入手可能になったが、これらのアーティストの楽曲を管理するユニバーサルミュージックグループ (UMG)からの訴えによって削除された。



TikTokではAIで再現したアリアナ・グランデの声がドレイクの『Controlla』を歌う楽曲も公開され、140万回以上も再生され、12万件以上のいいねを集めている。

フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道によると、UGMはストリーミングサービス各社に書簡を送り、彼らが著作権を管理する楽曲がAIのトレーニングに使用されるのをブロックするよう要請した。

しかし、このトレンドを好機と捉えるアーティストも存在し、シンガーのグライムス(Grimes)は、誰でもAIを使って自分の声を使った曲を作ることができると発表した。ただし、彼女はそれらの楽曲の収益の50%を、自分に支払うよう要求したとローリングストーン誌は報じている。

これは合法なのか?

AIで生成した楽曲の最大の問題の1つは、そのトレーニングに著作権で保護された素材が用いられていることだが、この行為を明確に規制する法律は存在しない。

スタンフォード大学の法学教授のMark A. Lemleyと弁護士のBryan Caseyは、Texas Law Reviewで発表した論文で、AIシステムは著作権法で保護された表現を消費するのではなく、アクセスするのみであるため、著作物をトレーニングに用いる行為自体は合法だと主張している。

しかし、他の専門家は、この行為を禁止すべきだと考えている。The Fowlkes Firmのエンターテインメントビジネス弁護士のKarl Fowlkesは、CNNに対し、裁判所と著作権局はこのプロセスを「明確に禁止」すべきであり「オリジナルの芸術は法律で保護されるべきだ」と主張した。

米国著作権局は3月、ここ最近のジェネレーティブAI技術の目覚ましい進歩 に対応し、AIで作成された音楽やアート、文章の登録方法に関する新たな規則を発表した。このガイドラインに盛り込まれた最大の要件の1つは、著作権登録のために提出された作品にAIで生成されたコンテンツが含まれている場合、それを開示することを求めている点だ。

AIが生成した音楽に関して、米国著作権局は「AIによる貢献が『機械的複製』の結果なのか、それとも著作者の『独自の精神的着想』なのかを考慮する」と述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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