AIで再現したドレイクとケンドリック・ラマー、カニエ・ウェストの3人の声が人気アニメの主題歌『不可思議のカルテ』を歌うTikTokの動画は、250万件以上のいいねを集めており、コメント欄には「これが世間で語られないAIの利点だ」と書き込まれている。
また、先月は@ghostwriter と名乗る匿名のクリエイターが、ドレイクとザ・ウィークエンドを声をフィーチャーしたオリジナル曲『Heart on my Sleeve』をAIで作成し、SpotifyやApple Musicなどのプラットフォームで一時的に入手可能になったが、これらのアーティストの楽曲を管理するユニバーサルミュージックグループ (UMG)からの訴えによって削除された。
TikTokではAIで再現したアリアナ・グランデの声がドレイクの『Controlla』を歌う楽曲も公開され、140万回以上も再生され、12万件以上のいいねを集めている。
フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道によると、UGMはストリーミングサービス各社に書簡を送り、彼らが著作権を管理する楽曲がAIのトレーニングに使用されるのをブロックするよう要請した。
しかし、このトレンドを好機と捉えるアーティストも存在し、シンガーのグライムス(Grimes)は、誰でもAIを使って自分の声を使った曲を作ることができると発表した。ただし、彼女はそれらの楽曲の収益の50%を、自分に支払うよう要求したとローリングストーン誌は報じている。
これは合法なのか?
AIで生成した楽曲の最大の問題の1つは、そのトレーニングに著作権で保護された素材が用いられていることだが、この行為を明確に規制する法律は存在しない。スタンフォード大学の法学教授のMark A. Lemleyと弁護士のBryan Caseyは、Texas Law Reviewで発表した論文で、AIシステムは著作権法で保護された表現を消費するのではなく、アクセスするのみであるため、著作物をトレーニングに用いる行為自体は合法だと主張している。
しかし、他の専門家は、この行為を禁止すべきだと考えている。The Fowlkes Firmのエンターテインメントビジネス弁護士のKarl Fowlkesは、CNNに対し、裁判所と著作権局はこのプロセスを「明確に禁止」すべきであり「オリジナルの芸術は法律で保護されるべきだ」と主張した。
米国著作権局は3月、ここ最近のジェネレーティブAI技術の目覚ましい進歩 に対応し、AIで作成された音楽やアート、文章の登録方法に関する新たな規則を発表した。このガイドラインに盛り込まれた最大の要件の1つは、著作権登録のために提出された作品にAIで生成されたコンテンツが含まれている場合、それを開示することを求めている点だ。
AIが生成した音楽に関して、米国著作権局は「AIによる貢献が『機械的複製』の結果なのか、それとも著作者の『独自の精神的着想』なのかを考慮する」と述べている。
(forbes.com 原文)