2023.04.09 14:00

アムステルダムが「迷惑観光客お断り」キャンペーン開始

Getty Images

オランダの首都アムステルダムが、特定の観光客に同市を訪問しないよう促すキャンペーンを開始した。ばか騒ぎが目的の訪問をやめさせることが目的で、まずは英国で実施し、後に他の欧州各国にも対象を拡大する計画だ。

アムステルダムは長年にわたり、英国人、特に若い男性にとって特定の魅力を持つ街となってきた。こうした観光客は多人数で数日間滞在し、カフェやバーで酒を飲んだり大麻を吸ったりした後、風俗街を訪れ、迷惑行為に及ぶことが多い。

アムステルダムの新キャンペーンは、そのような人たちに訪問を思いとどまらせることを目的としている。ばか騒ぎをする場所だとか、セックスやドラッグのイメージで知られる街という現状を変え、その代わりに豊かな歴史や食文化、芸術への愛をアピールしたい考えだ。

アムステルダムは何世紀にもわたって旧市街での売春を合法としてきたが、4月からは多くの店の営業時間を午前6時までではなく午前3時までに制限した。これまで翌朝までの営業を許可していたバーも、午前2時までの営業とした。加えて5月には、公共の場での大麻使用を禁止する予定だ。

キャンペーンは18〜35歳の英国男性が対象で、検索エンジンに「アムステルダムで男だけのパーティー」「アムステルダムの格安ホテル」「アムステルダムでのパブ巡り」といった特定の言葉を入力するとポップアップが表示され、新しい規制や、迷惑行為に科せられる多額の罰金、犯罪歴が残る可能性に関する警告がなされる。

対象は後に、オランダ国内の若者向けにも拡大する予定。英国の若者は欧州各地の路上で酔っ払って大騒ぎすることで知られている。だがオランダ人も近年、イタリアの首都ローマでサッカーファンが暴動を起こしたり、スペインで観光客が大暴れしたりしたことで、同様に批判されている。

アムステルダムのソフィアン・ムブラキ副市長は、「観光客は引き続き歓迎するが、不作法にふるまったり迷惑をかけたりするような人には来てほしくない」と説明。欧州の他の都市よりも踏み込んだ措置であることを認めた上で、観光を持続可能なものとし、街を住みやすくするためには「無責任な成長ではなく、制限を選ぶ必要がある」と語った。

アムステルダム市はまた、許される行動とそうでない行動を人々に伝える「ハウツー・アムステルダム」というキャンペーンも展開する。許されない行動の例としては、公共の場での排尿、泥酔、騒音、路上の売人からの薬物購入などがある。

夏前には、観光活動への課税や河川遊覧の認可制限がもたらす効果などについての調査結果も公表される予定だ。

欧州では多くの都市が、地元住民の保護と環境保護目標の達成と同時に、持続可能な観光の拡大に取り組んでいる。スペインのバルセロナとイタリアのベネチアは、経済的な理由から持続不可能な観光習慣に依存しているが、近年は経済面と環境面への影響のバランスをうまく取ろうと試みている。

例えばベネチアは最近、観光客が及ぼす影響を軽減するための措置として、市内の民泊仲介Airbnb(エアビーアンドビー)物件を制限し、市内のホテルに滞在しない人からは入場料を徴集する計画を発表した。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子・編集=遠藤宗生

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